温室効果ガスのHFC(ハイドロフルオロカーボン)を冷媒として使わないショーケースに扉を付けることで、省エネ効果も―。そんな社会実験を、環境省が6月1日から始める。実験に参加するのは、大阪府守口市と愛知県豊橋市にある二つのコンビニ店。参加店舗の追加も予定している。

サンドイッチやスイーツ、乳製品さらにさまざまなチルド商品などが並ぶコンビニやスーパーのショーケースは、開放状態が普通だ。ペットボトル飲料など、扉が付いているショーケースは、一部に限られる。

環境省は、冷媒としてHFCの代わりに温室効果が極めて小さい自然冷媒(水、空気、アンモニア、二酸化炭素など)を用いた省エネ型自然冷媒の冷凍冷蔵機器を普及させる事業をすでに実施している。今回の社会実験は、省エネ型自然冷媒機器のショーケースと扉を組み合わせることによるコンビニでの温室効果ガス排出削減効果を把握し、今後の普及方策を検討するのが狙い。店舗の電気使用量削減効果を調べるほか、客や従業員を対象としたアンケートで利便性や購買意欲への影響も調査する。

環境省によると、小規模スーパーでの電力消費のうち約5割はショーケースが関わっていると言われている。また、扉のないショーケースは、収納商品だけでなく買い物客も冷気にさらす。ショーケースの前に3分間静止した後の体温を測定したところ、扉の有無により、肌の露出部分で1.7~1.8℃の差が発生した、という実験結果もあるという。

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