東京メトロは5月21日、発明協会が主催する平成27年度全国発明表彰において、「鉄道車両用の操舵台車の発明(特許第5512108号)」により「発明賞」を受賞したと発表した。

同発明は、急曲線が多数存在する地下鉄のような路線において、曲線走行時のレールと車輪の摩擦による騒音を低減し、優れた走行性能を発揮する鉄道車両用台車に関する技術で、東京メトロが新日鐵住金と共同研究・開発を行ったもの。

SC101形操舵台車(右)とその構造(左)

通常の台車は、2本ある車軸が平行に固定されているため、曲線通過時には車輪とレールの摩擦により騒音や振動が発生する。一方、同発明の操舵台車は、自動車がカーブに沿ってハンドルを切るように、曲線通過時に片方の車軸が自動的に舵を切る仕組みで、結果、車輪とレールの摩擦が減少し騒音と振動が抑えられ、通常の台車よりも曲線をスムーズに走行することが可能となる。

この操舵台車は、1両に4組ある車輪・車軸のうち、内側の2組のみに操舵装置をつけることで、比較的単純な構造で、優れた曲線通過性能を発揮。進行方向に対して前側の台車では、後軸を操舵することで台車全体の曲線通過性能を向上させるという特徴を持つ。後軸の操舵により、曲線中で横圧や騒音の原因となる反操舵方向のモーメントを低減し、台車全体の曲線通過性能を向上させている点が、同発明の最大のポイントとされる。一方の前軸にモータ、駆動装置を配置することにより、駆動力の確保と曲線通過性能の向上を両立させている。

既に、2012年4月から運行している銀座線1000系車両に、この操舵台車が採用され、騒音と振動の低減に大きな効果を発揮するとともに、走行エネルギー削減による省エネ効果に寄与しているという。