経済協力開発機構(OECD)は21日、報告書「格差縮小に向けて(In it together: Why Less Inequality Benefits All)」を発表した。同報告書は、富裕層と貧困層の格差は過去最大水準に拡大し、それが経済成長を弱めていると指摘している。

OECD加盟国では、人口の上位10%の富裕層は下位10%の貧困層と比べて9.6倍の所得があり、1980年代の7倍、2000年代の9倍からさらに拡大。このうち18カ国では、人口の下位40%が総資産の3%しか保有していないのに対し、人口の上位10%の富裕層は総資産の半分を保有しており、上位1%に至っては総資産の18%を保有していた。

Rising inequality threatens social cohesion and growth(動画)(出典:OECD東京センターWebサイト)

また、格差の拡大や労働市場における機会の少なさは、長期的な経済成長に有害であると強調。OECD19カ国で分析された1985~2005年の間の格差拡大を見ると、1990~2010年の経済成長を4.7%ポイント押し下げていることが明らかになった。さらに格差拡大が続くことに伴い、社会経済的背景の低い家庭は教育やスキルの取得が落ち込むことが示されており、格差が潜在スキルを多く損ねると同時に、社会流動性を低めていると指摘している。