日本の箸、母国の食器と比べてデザインはどうですか?(画像は「食べるアート展」の会席料理を題材にしたプロジェクションマッピング)

日本の食事には欠かせないお箸。あらためて説明するとしたら「塗りや研磨によって加工した、短い木でできた道具」ですが、世界には使わない国もたくさんあります。日本に来て初めて箸に触れたという外国人の方も多いことでしょう。そんな箸のデザインは外国の方にとってどう見えているのでしょうか。

日本在住の外国人20名に「日本の箸、母国の食器と比べてデザインはどうですか?」と質問してみました。

■お箸のデザインはアニメ柄、日本柄、おしゃれ柄、シンプルな柄なしなどいろいろあり、子どもから大人まで自分に合うデザインを探せるので楽しいです。気分転換したい時にもとてもいいと思います。(タイ/30代後半/女性)
■最近はモダンなのがあって好き。お土産に持っていくのにいい。(イギリス/20代前半/女性)
■デザインがいろいろあって面白い。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■柄がついていたりしてきれいだと思います。(ブラジル/20代後半/男性)
■木の箸が好きです。(スペイン/30代後半/男性)
■素晴らしい。(ロシア/20代前半/女性)
■デザイン性が高い。(台湾/40代前半/男性)
■洗練されていますね。(韓国/40代後半/男性)
■日本のほうがきれいです。(ベトナム/30代前半/女性)
■日本のほうがかっこいい。(イスラエル/30代後半/女性)
■和風のデザインのほうがいいですね。でもスウェーデンもデザインレベルが高いので両方いいと思います。(スウェーデン/40代後半/女性)
■日本の陶器は素敵です。(ドイツ/40代前半/女性)

見た目の柄や素材に関する回答から。興味深かったのはタイの方の「柄を変えて気分転換したい時にもいい」というご意見。個々で決まった箸を使うことも多いので、個人的に新鮮さを感じました。でも確かに、これだけいろいろな柄があれば使い分けも可能ですし、楽しそうですよね。

素材としては木や竹、子ども用にプラスチックなどが使われることが多いですが、特に多いのは木に漆や樹脂を塗った塗り箸でしょう。使い捨てであれば、コンビニなどでもらう割り箸もおなじみですね。また食事用以外には菜箸や真魚箸といった調理専用の箸、取り分け用の取り箸などが存在します。特に取り箸は日本や香港のみの文化。大勢で食事をする際、自分の箸で取り分ける前に「直箸ですみません」と声かけする慣習がありますが、これは日本では直箸がマナー違反のひとつになっているからです。

■慣れるのに時間がかかりましたが、使いやすいデザインです。(トルコ/30代前半/女性)
■とても使いやすいです。(アメリカ/20代後半/男性)
■機能的でかっこいいと思います。(マレーシア/30代前半/男性)

機能面で評価している回答です。機能性と格好良さの両立は優れたデザインのポイントですよね。日本では片方の端が細くなる形が基本ですが、これは骨付きの魚を食べる時に骨と身をわけやすくするためだといいます(例外として、お正月などに使う両端が細くなる祝い箸もあります)。

箸の持ち方としては、1本は鉛筆を持つように挟み、もう1本は中指と薬指の間で挟むのが正しいとされています。鉛筆持ち側を動かせば物がつかめる原理ですが、トルコの方の回答にもあるように、慣れないうちはかなり難しいもの。子ども用の矯正箸も存在しますし、日本人でもうまく持てない人がわりと多くいるのが現状です。

■あまり変わらないです。(中国/20代後半/女性)
■普通だと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■フィリピンには箸がないので比較できません。(フィリピン/40代前半/女性)
■母国ではお箸が使われないので比べられません。フォークやナイフ、スプーンなど使っています。(チュニジア/40代後半/男性)
■ものが違うので比べられない。(オーストラリア/40代前半/男性)

最近は和食のグローバル化によってお箸を使える外国人の方もかなり増えました。が、もともと箸を使う層は世界中で約30%。食べ物や調理法の影響が大きく、米や麺が主食だと箸、肉類はナイフ、その他は手に分類できるほか、はさむ食材が使われる料理には箸、突く・乗せる食材が多い料理にはフォークが使われると言われます。

また、同じく箸を使うアジアの中でも、中国や朝鮮はさじ(スプーン)が中心ですが、日本は汁ものにも箸を使うため、椀を手に持って口に運びますが、この動作は日本だけなのだそう。箸はかなり独特な存在であり、使わない国では相当する道具がないので比較できないという意見が出るのは仕方がないですね。

比較的高い評価が集まった、お箸に関するアンケート。食は国民性やその国の生活になくてはならないものですが、それに付随する道具も同じですよね。特に日本ですと、米を食べる民族だからこそ、箸が発達してきたわけですから。

とはいえ、今では和食も世界的に有名になり、その料理とともにお箸に親しむ外国の方は確実に増えています。食文化を道具も含めて知ってもらえるのですから、すごくすてきなことですよね。