Apple Watchの発売開始から間もなく1カ月。Apple Watchを分析する様々な視点のレビューが揃い始めたが、早くもこの夏にApple Watchは成長しそうだ。9to5MacでMark Gurman氏が、Appleが「初の重要なアップデートの提供準備を進めている」とレポートした。同氏はまた、Apple Watchと統合的に連携する次世代のApple TVに関する情報も公開した。

Gurman氏は過去にApple製品に関する数々のスクープをものにしており、今年1月には新しいMacBookのデザインを正確に報じて話題を呼んだ。Apple製品に関する噂が溢れる中、情報の確かさで一目置かれる若手ジャーナリストの1人だ。今回のレポート「Apple readies first significant Apple Watch updates, ’TVKit’ SDK for Apple TV」は、同氏が「確かなソース」とする情報筋を中心に、他のソースからの情報もまとめたものだ。

Watch OSに関してAppleは、セキュリティの強化、他のAppleデバイスとの接続性の向上、ヘルス&フィットネスやWi-Fiの新機能、サードパーティアプリの統合などに取り組んでいるという。早い段階で実現しそうなのがサードパーティのフルアプリだ。現在のサードパーティのApple Watchアプリは、iPhoneアプリの機能をApple Watchに拡張するようなアプリに制限されているが、Apple Watch上で単体で動作するアプリを提供できるようになる。iPhoneアプリと連携するApple Watchアプリは、BluetoothまたはWi-Fiを通じて通信しながら機能するため動作が遅くなるが、フルアプリは通信がボトルネックになることなく、Apple Watchの処理性能をフルに引き出して動作する。

カスタマイズ機能で、様々な情報をウォッチフェースに表示可能

また「Complications」というウォッチフェース機能をサードパーティに開放する。Apple Watchのウォッチフェースにはユーザーがカスタマイズ機能を使って、気温・天気、アクティビティ、カレンダーなど様々な情報を表示できる。このウォッチフェース上のウイジェット機能がComplicationsであり、現在はAppleが提供するアプリやサービスの情報に限られているが、たとえばTwitterの未読数などサードパーティのアプリからの情報も表示できるようになる。数文字程度の簡単な情報表示になるものの、グランスよりもすばやくユーザーが情報を確認できる手段になる。

Appleはヘルス&フィットネスに力を注いでおり、ヘルス関連のロードマップには、酸素飽和度、血圧、血糖値の測定、睡眠トラッキングなどが含まれる。しかしながら、現行モデルで実現しているのは心拍数の計測のみである。現在、心拍の乱れを通知する機能を試しているが、訴訟リスクのある機能であり、また政府規制の対象になり得ることから実装されずに終わる可能性もあるという。

「iPhoneを探す」機能のApple Watch版になる「Find my Watch」機能の開発も進められている。「iPhoneを探す」機能では、紛失したiPhoneの位置を確認し、遠隔からサウンドを鳴らしたり、ロックまたはデータ消去を実行できる。現段階で同様の機能をApple Watchで効果的に実現するのは難しい。今のApple Watchはインターネットに接続するためにiPhoneとのペアリングが必要であり、GPSは内蔵していない。紛失を防止し、個人データの漏洩を避けるのが「~を探す」機能の目的であり、そこで紛失防止策として開発チーム内で「Smart Leashing」と呼ばれている機能の提供が計画されている。Leashとは、ペットなどをつなぐリード(ひも)を意味する。Smart Leashingは、iPhoneとApple Watchを結ぶワイヤレス信号からデバイスの距離をモニターし、距離が離れたら振動や光で通知する。Smart LeashingやFind my Watchの実現には独立した無線チップや基本性能の向上が必要になる可能性があり、実現は次世代モデルになる可能性があるという。

次世代Apple TVでTVKitを提供

新しいApple TVはSiriをサポート、TVKitというフレームワークが用意され、Apple内で「MuirTrail」と呼ばれてる次世代XcodeでサードパーティがApple TVアプリを開発できるようになる。そしてApple Watchが付属のリモコンに並ぶほど有用な操作デバイスになるという。

新しいApple TVのハードウエアは「J34」というコードネームで呼ばれており、プロトタイプは現行のApple TVの2倍ほどの大きさになっているが、製品版はスリムなデザインになるという。また、噂されるサブスクリプション型のTVサービスをサポートする。

Gurman氏によると、Watch OSのアップデートと新しいApple TVのほかにも、Appleは新しい音楽ストリーミングサービスをサポートするiOS 8.4、iOSの次期メジャーアップデートになるiOS 9(コードネーム: Monarch)、OS X 10.11 (コードネーム: Gala)の開発を進めており、その内のいくつかはAppleが6月に開催する開発者カンファレンスWWDC 2015(米サンフランシスコ、6月8日-12日)で発表すると期待できる。