日本銀行の黒田東彦総裁はこのほど、読売国際経済懇話会において「『量的・質的金融緩和』の2年」と題する講演を行った。黒田総裁は、大規模金融緩和の導入後、いくつかの「想定外」はあったが、「大きな構図が『思い通り』であることに、確かな手ごたえを感じています」と話した。

金融緩和の効果については、実質金利は1%弱程度低下したと考えることは、「概ね妥当」と述べ、「10回近くの利下げを同時に行ったのと同等の政策効果を持っている」との見方を示した。

今後3年間の日本経済については、「2015年度から2016年度にかけては、潜在成長率を上回る成長を続ける」と話し、成長率は、2015年度は2.0%増、2016年度は1.5%増になると予想。その後、2017年度にかけては、同年4月に予定されている消費税率10%への引き上げの影響を受けるものの、プラス成長を維持し、0.2%増になると見込んでいる。

一方、消費者物価目標2%上昇の達成時期は、2016年度前半頃に後ずれするとの見通しを示した。

金融政策については、必要な時点まで現在の政策を継続するとの考えを示した上で、「物価の基調が変化し、2%の実現のために必要となれば、躊躇なく調整を行う」と述べた。

また、金融緩和の導入後、最大の想定外は「原油価格の下落」だとし、これが予想物価上昇率の形成にリスクをもたらし、追加緩和の実施を決断するに至ったと話した。