KDDIが12日に開催した2015年3月期決算説明会で、記者団からSIMロック解除の義務化が及ぼす影響について聞かれた同社の田中孝司代表は、市場の縮小につながる懸念について述べた。

都内で12日に開催されたKDDIの2015年3月期決算説明会。田中孝司代表が、SIMロック解除の影響について言及した

携帯電話のSIMロック解除の義務化は、総務省の指導のもとで開始された新しい制度。KDDIとNTTドコモでは、5月1日以降に発売された携帯電話・スマートフォンについて、無料でSIMロックの解除を行うと発表している。

しかし、両社ともSIMロック解除の手続きを受け付けるのは「購入日から180日経過後」としており、実際に本制度が施行されるのは、最短でも今年の11月以降となる見込み。質疑応答でSIMロック解除の義務化の影響について聞かれた田中社長も「現時点ではまだ始まっていないので、なんとも言えない」と回答している。

囲み取材でも、同様の質問があがった。田中社長によれば、業績面での影響はそれほど大きくはならないという認識だという。経営に与えるインパクトという点では、SIMロック解除の義務化よりも“MVNOの流行”を強く懸念しているとのことだった。

もっとも、KDDIが提供する端末にかかっているSIMロックを解除したところで、NTTドコモ、ソフトバンクの展開するネットワークでは利用できないケースもある。これは対応する通信方式が異なるためだ。田中社長も「そもそも、うちのスマートフォンはSIMロックを外したところで国内の他社さんの電波では使えなかった」と話す。

田中社長が心配するのは、SIMロックの解除が市場の縮小につながるのではないか、という点だ。同氏は「(異なる会社の間でスマートフォンが融通できるようになることで)中古市場が活性化される。すると、新規で販売されるスマートフォンの数が減る。そのことで、製造メーカーに影響が出る。やがて、端末の総販売数が減る」と見立てた。

(記事提供: AndroWire編集部)