東京大学(東大)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月8日、2014年12月に小惑星探査機「はやぶさ2」の相乗り衛星として打ち上げられた超小型深宇宙探査機「PROCYON」が目標としていた小惑星2000 DP107へのフライバイを実施しないことを決定したと発表した。

PROCYONは打ち上げ後、ノミナルミッションをほぼすべて達成し、アドバンストミッションも一部達成していたが、2015年3月上旬、イオンスラスタに異常が発生、定常運転を中断し、回復が試みられていた。しかし、現状のまま飛行を続けると、地球との最接近距離は300万km弱となり、地球スイングバイによって、目標の小惑星2000 DP107にフライバイするために必要な最接近距離まで地球に近づくことができないこと、今後、イオンスラスタが回復しても、残された期間で地球スイングバイ条件を整えることができないことなどの要因から、今回の決定に至ったという。

なお、PROCYONチームでは、ジオコロナ観測装置LAICA(Lyman Alpha Imaging CAmera)による観測やその他の工学実証実験の継続など、今後の運用については、関係者で協議していくことになると説明している。

「PROCYON」のイメージ (C)東京大学/JAXA