カゴメはこのほど、城西大学(金本郁男教授)との共同研究により、メタボリックシンドロームの原因の一つである食後の血糖値上昇を抑えるためには、200ml程度の野菜ジュースを食前に飲むことが効果的であることを、ヒト試験で明らかにした。

赤い線(野菜ジュース200mlを飲んだ食事パターン)が血糖値変化量が少ないことがわかる

同社は既に同大学との共同研究によって、野菜ジュースを食前に摂取すると食後の血糖値上昇が抑えられることを確認している。今回は食後の血糖値上昇抑制に効果的な野菜ジュースの飲用量を明らかにするため、ヒト試験を実施したという。

試験では健常な大学生10名に、野菜ジュース(もしくは水)と白米を複数パターンで摂取してもらい、食後の血糖値変化量を調べた。

食事パターンは「水200mlを摂取し、30分後に白米150gを摂取」「野菜ジュース68.5mlを摂取し、30分後に白米135gを摂取」「野菜ジュース137mlを摂取し、30分後に白米120gを摂取」「野菜ジュース200mlを摂取し、30分後に白米106gを摂取」「野菜ジュース274mlを摂取し、30分後に白米90gを摂取」の5つで、全体の糖質量は50gに統一した。

その結果、野菜ジュース200mlを飲んだ食事パターンでは、野菜ジュースを飲まなかった食事パターンに比べ、食後の血糖値の上昇が低く抑えられた。また、それ以上野菜ジュースの摂取量を増やしても、効果はほぼ変わらなかったという。

次に食事開始時からの血糖値の最大変化量(以下、ΔCmax)に焦点を当てた。ΔCmaxはメタボの原因の一つである「血糖値の急激な上昇」の指標で、食事開始後の血糖値の最大値と食事開始前の血糖値の差となる。ΔCmaxが大きいほど、血糖値が急激に上昇したことを意味する。

ΔCmaxは、野菜ジュース200mlを飲んだ食事パターンにおいて、野菜ジュースを飲まなかった食事パターンよりも有意に低い値を示した。

赤いバー(野菜ジュース200mlを飲んだ食事パターン)が血糖値の最大変化量(ΔCmax)が小さいことがわかる

さらに、血糖上昇曲線下面積(IAUC)にも着目した。IAUCとは、時間経過にともなう血糖値増加量の面積を指し、食品の血糖値上昇を比較する指標として用いられることが多い。IAUCが低いことは、糖質の吸収が抑えられた、あるいは生体内で糖の利用が亢進(こうしん)したことを意味する。

IAUCは、野菜ジュース200mlを飲んだ食事パターンおよび野菜ジュース274mlを飲んだ食事パターンにおいて、野菜ジュースを飲まなかった食事パターンよりも有意に低い値を示した。

赤いバー(野菜ジュース200mlを飲んだ食事パターン)と青いバー(野菜ジュース274mlを飲んだ食事パターン)が血糖上昇曲線下面積(IAUC)が低いことがわかる

今回の結果を受け、研究に携わった金本教授は「朝起きがけに野菜ジュースをコップ1杯飲むだけで食後血糖が改善できる」と、野菜ジュース摂取のメリットについて言及。一方で、「野菜ジュースの効果だけに期待して野菜ジュースを飲み過ぎるのではなく、食事全体のカロリーなどにも気を付けて、バランスのよい食事をすることが大切です」ともコメントしている。

なお、今回の研究成果は5月21日より開催される「第58回日本糖尿病学会年次学術集会」にて発表される予定。