日本マイクロソフトは4月20日、慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボと「Skype for Business(旧Microsoft Lync)」を活用した「高校遠隔授業汎用モデルon Skype for Business」の共同研究に合意したと発表した。

共同研究は、2015年4月1日の学校教育法施行規則改正により全国の高校において遠隔授業が解禁されたことを受けてのこと。これまで慶應大学SFCプラットフォームデザイン・ラボと、日本マイクロソフトが培ったノウハウを活かして研究を進める方針だ。慶應大学SFCプラットフォームデザイン・ラボは、2015年度上期を目途に研究成果を公開するとしている。

合意内容は以下の3点。

「高校遠隔授業汎用モデル on Skype for Business」の共同研究

教育へのICTによるイノベーション実現の阻害要因には、「高額である」「教職員にとって機器やソフトウェアなどの取り扱いが難しい」と言う理由などが挙げられるという。両者は、教育機関にも広く普及しているOffice 365 EducationとSkype for Businessを活用し、コストと品質に優れ、全国の高校で導入可能なモデルの構築を目指す。

文部科学省報告が提示する基準への適合と、研究成果の公開

文部科学省「高等学校における遠隔教育の在り方について(報告)」では、「音声を重視した上で、社会的に受け入れられるコストと品質」での遠隔授業システムの普及を推奨している。「高校遠隔授業汎用モデルon Skype for Business」は、同報告書が提示する基準への適合を目指し、遠隔授業を実施する際に最低限用意すべきICTサービス、機器、通信環境、授業運用ノウハウ、ICTサポート体制の情報を体系化して公開する。

遠隔授業の普及と、子供たちの学びの多様性の実現を推進する活動の実施

両者は2015年度より全国の教育委員会や各学校で実施される遠隔授業の支援活動を行う。活動の一つとして、2カ国の教室間をSkypeで接続し、子ども達が英語でヒントを出し合って、お互いの国を当てる交流学習、「Mystery Skype」の活用支援プログラムを開始する。

なお、慶應大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボは、これまで全国各地の高校においてICTを活用した遠隔授業の実証研究を推進しており、システム開発、適切な授業の進め方、適切な通信環境、社会受容可能なコストなど、遠隔授業の実用化に向けて取り組んできた。

日本マイクロソフトは、2012年より教育機関に対して統合型情報共有クラウドサービス「Office 365 Education」を無償で提供している。「Office 365 Education」に含まれるSkype for Businessは、離れた場所を繋いで音声や動画でコミュニケーションしたり、PowerPointで作成したプレゼンテーションを共有したりする機能を搭載する。