東芝は4月15日、複数センサを搭載しセンシングを行なうウェアラブルデバイス向けのマイクロコントローラ(マイコン)の消費電力削減を実現する制御技術を開発したと発表した。

同成果の詳細は、4月15日より横浜にて開催されている半導体の国際会議「COOL Chips XVIII」にて発表された。

バッテリーで駆動するウェアラブルデバイスの長時間駆動を実現するために、マイコンなどの消費電力を抑制することが求められている。そうしたマイコンには低消費電力モードが基本的に搭載されており、非動作時・待機状態時に動作モードから低消費電力モードに遷移することで、バッテリの消費を少なく抑えることができる。しかし、マイコンを低消費電力モードに遷移するためには、前処理および後処理が伴い、それらを実行するための電力消費が発生していた。また、ウェアラブルデバイスは多機能化により多くのセンサが搭載されるようになってきており、これらのセンサからのデータ取得のために頻繁に動作モードと低消費電力モードを切り替える必要があり、低消費電力モードの遷移に要する電力消費を抑える必要が生じていた。

今回開発された技術は、取得頻度が異なるセンサからのデータ取得処理を、適切な時間間隔にまとめて一度に行うことで、低消費電力モードへの遷移の頻度を削減しようというもの。これにより、低消費電力モードの遷移に要する電力消費が削減できるようになったほか、処理のまとめ方の工夫により、センサデータの取りこぼしも最小限に抑えることに成功したという。

なお、この処理をまとめる制御には、ソフトウェアのサポートのみならず、ハードウェアの電源制御モジュールに特定の機能が必要とのことで、すでにその機能を搭載済みの同社のウェアラブルデバイス向けマイコン「TZ1001MBG」にて、活動量計アプリケーションを動作させてテストを行ってきた結果、最大31%の消費電力の削減を図れることを確認したという。

同社では、今後、2~3年度の同技術の実用化をめざし、研究開発を進めていくとしている。

東芝のウェアラブル端末向けアプリケーションプロセッサ「TZ1001MBG」