ベストセラーズはこのほど、新書『カジノ幻想』を発売した。著者は静岡大学人文社会科学部経済学科教授の鳥畑与一氏。価格は907円。

同書は、日本のカジノ導入議論はこれまで「別の土俵からの空中戦」だったと指摘。簡潔にいうと、推進派は地方再生・観光客増加などのメリットだけを強調し、反対派はギャンブル依存症問題・治安悪化などのデメリットだけを主張してきたという。

では、推進派が主張する「カジノで日本経済が成長する」は真実なのか。著者は、「ゼロサム」「カニバリゼーション」「ジャンケット」「コンプ」などのキーワードからIR型カジノの危うさを解明。カジノの危険性と、そこに残された可能性から、カジノが日本を幸福にするのかを問い直している。

神戸女学院大名誉教授の内田樹氏は「本書は海外の先行するIR型カジノの経済的脆弱性と社会的コストの過剰についての冷静で精密な検証である。これを読んでなおカジノ推進を言う人がいたら、その人が見ているのは現実ではなく、妄想である」と推薦の弁を寄せている。

著者の鳥畑与一氏は1958年生まれ。静岡大学人文社会科学部経済学科教授。大阪市立大学経営学研究科後期博士課程修了。専門は国際金融論。著書に『略奪的金融の暴走:金融版新自由主義のもたらしたもの』(学習の友社)などがある。