ヤフーは4月9日、「Yahoo!地図」の「ルート探索」機能を活用し、日本全国のルートと到達所要時間の可視化に取り組んだ「Yahoo! JAPANビッグデータレポート‐リニアは日本をどれだけ狭くするのか? 到達所要時間ビジュアライゼーションマップに挑戦」を公開した。

Yahoo!地図のルート探索機能は、出発地点と目的地点を指定すると、最適なルートや所要時間、運賃などを案内してくれる機能。「徒歩」「車」「鉄道」「バス」「飛行機」などの複数の交通機関を組み合わせて最適ルートを提示する。

今回のレポートは「会社から通勤1時間以内ってどこだろう?」「家から車で2時間ドライブするとどこまでいけるのだろう?」といった疑問を解消するための取り組み。その方法は、出発地点から日本全国のあらゆる地点までの時間を総当りで計算した「到達所要時間マップ」で可視化するというもの。

到達所要時間マップ、(1)任意の出発地点から日本全国のルートを調べるために、日本全国をなるべく細かい単位で分割してそれぞれに目的地を設定した。市町村レベルでの分割は単位が大きすぎるため、日本全国の住所を「○○町○丁目」まで細分化して、それぞれを到達エリアとした。実際に抽出すると約19万エリアだったという。

出発地点を定めたら、(2)出発地点からすべての到達エリアの目的地点に到達するまでの所要時間を計算する。最後に、(3)これまでの工程で得られたデータを地図上で可視化。これで到達所要時間マップが完成する。

12時間あれば東京駅から国内のどこへも行ける

到達時間マップを活用して、出発地点を「東京駅」に設定して調査を実施した。条件は以下の通り。

  • 「東京駅」を出発地とする

  • 出発時間を「平日午前7時」として計算する

  • 交通手段は「徒歩」「車」「電車」「新幹線」「バス」「フェリー」「飛行機」とする

  • 到達地点は、日本全国の町丁目エリア約19万件の代表点を設定する(例:○○町○○丁目)

  • 到着時間の最大値は出発から12時間後までとする

この条件をもとに、「東京駅」から日本全国約19万到達エリアに対してすべての所要時間を計算し、画像と動画にてデータビジュアル化した。

結果を見ると、北は北海道から南は沖縄まですべての都道府県に到達している。例えば、日本最北端の宗谷岬までが4時間56分、最西端の納沙布岬までは6時間56分となった。つまり、都内在住者であれば、半日もあれば国内のどこへでも行ける。

続いて、北陸新幹線の開業前と開業後で、東京駅から北陸地方の各地点まで5時間でどこまで行けるか計測した。条件は次の2つ。

  • 基本的な条件は「到達所用時間マップ」全国版に準ずる

  • 「ルート」探索」の利用交通手段に飛行機を含めない

結果は開通後のほうが到達地点が多いのが一目瞭然。開通前は、石川県はほとんど入っていなかったが、開通後は和倉温泉の近辺まで到達している。日本有数の旅館と謳われる加賀屋まで、北陸新幹線に乗れば東京から約5時間で到着できる。

リニア開通後は関西へのアクセスが大幅に向上

最後に、「もしもリニア中央新幹線が開通した場合」の計測を実施した。リニア中央新幹線は、東京都から大阪府まで結ぶ新幹線の整備計画で、2027年に開業を予定している。多くが山間部を走る直線のルートのため、新幹線の最大速度は時速505kmに到達すると言われている。

条件は以下の通り。

  • リニア中央新幹線は、品川駅を出発して名古屋駅に到達するまでの所要時間を40分とする

  • リニア中央新幹線の途中駅は、駅建設予定地となっている地点の主要最寄駅とする

  • 「ルート探索」の利用交通手段に飛行機を含めない

  • リニア中央新幹線以外の交通網は、2015年3月時点のものを使用する

  • 到着時間の最大値は出発から3時間後までとする

開通後は、大阪駅まで1時間51分で到着できることもあり、従来の東海道新幹線を使った場合よりも、近畿地方の到達地点が大幅に広がっている。関西へのアクセスが大幅に楽になることがよくわかる。

今後はさまざまなシュミレーションに活用

今回ヤフーは、出発地からの到達地点を計測したが、処理方法を変更したりさまざまなオープンデータ、公共交通機関などのデータと組み合わせてさまざまな調査に活用できるとしている。

  • 事故や工事による不通区間の影響調査

  • 地震や台風などの自然災害時における交通変化シミュレーション

  • 公共交通のダイヤ変更や車線量変更による影響シミュレーション

  • 観光ルートの最適化やアシスト

  • 条件にあった不動産、商圏、新規商業施設の開拓や候補場所などの抽出

今回の大きな目的として、これら大規模な抽出データをどう視覚的にわかりやすく把握できるようにするか、という「データビジュアライゼーション」の取り組みもあわせて行っている。

「大量の到達時間情報を時間推移や到達点情報などと組み合わせつつ、伝えたいことの意図を失うことなくどのように表現する」というデータビジュアライゼーションにも引き続き取り組むとしている。