電通総研はこのほど、働いた経験を持つ三大都市圏の20~59歳の女性3,700名(首都圏2,700名、関西圏500名、中京圏500名)を対象に、「女性×働く」調査を実施し結果を発表した。調査期間は、2014年12月19日~21日。

初就職時から働き続けている女性、2割にとどまる

「就職時/これまで/現在の『働いている』人の割合と、今後の『働きたい』意向」

仕事の継続・再開・中止状況について質問したところ、初就職後、6カ月以上の中断がなく働き続けている「仕事継続層」(以下「継続層」)は、全体の約2割(19.8%)にとどまった。また、仕事を辞めた経験があり、その後再開した「仕事中断・再開層」(以下「中断・再開層」)は38.9%、働いたことはあるが現在仕事をしていない「仕事中止層」(以下「中止層」)は41.2%に。三大都市圏の20~59歳女性を、「継続層」「中断・再開層」「中止層」で分類すると、2:4:4の構成比となった。

続いて、現在「継続層」および「中止・再開層」の有識女性に「今後いつまで働きたいと思っていますか?」と尋ねたところ、50.7%が今後も働き続けたいと考えていることがわかった。また、現在「中止層」の女性に対しても「今後どれくらいの期間で再就職したいと思いますか?」と尋ねた結果、28.1%が働き意向を示し、両者を合わせると約8割(78.8%)もの女性が働きたいと思っていることが明らかとなった。

「イクボス」認知度2割、実在はわずか1割

「周囲の人は力になってくれるか」

仕事と子育てを両立していく上での周囲の協力について調べたところ、「夫」の協力に関して、「中断・再会層」が55.1%だったのに対し「継続層」は69.3%と、約15ポイントの差となった。また、「あなたの親」「職場の上司や同僚」「有料のサポートサービス」など、全ての項目においても、「継続層」が「中断・再開層」を上回っており、「継続層」にはさまざまな協力者がいることが伺えた。

そこで職場での協力に注目し、まずは、『職場でともに働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)』のことを指す「イクボス」の認知度について調べたところ、約2割にとどまった。また、実際に職場にイクボスがいるかどうかについては、「直属の上司にいる」という人は3.8%、「直属の上司ではないが職場にいる」が4.7%と、両者を合わせても現状1割に満たないことが明らかとなった。

「イクボスがいると女性は働きやすくなるか」

続いて、「イクボス」が増えると、働く女性が結婚・出産をしやすくなったり、女性が働きやすくなったりするかと聞いた結果、「そう思う(19.5%)」「どちらかといえばそう思う(38.2%)」と、約6割の女性がイクボスが増えると女性が働きやすくなると考えていることがわかった。

再就職では、キャリアよりも「家庭の事情」を重視

「再就職時の重視点」

仕事を辞めたことのある女性を対象に、「退職後の気持ち」について聞いたところ、およそ7割が「退職してよかった」と思っていることが判明。しかしながら、前質の「今後の働きたい意向」に関する結果から、離職者の約半数(48.5%)が仕事を再開しており、さらに、仕事を再開していない「中止層」の7割が「今後働きたい」と思っているとのこと。

そこで、再就職する際にどのような点を重視するのか尋ねたところ、「自分の経験やキャリアがいかせるかどうか」と答えた人は13.5%にとどまり、それよりも「勤務場所(64.6%)」や「勤務時間(63.4%)」、「雇用形態(47.4%)」、「勤務日数(45.0%)」など、家庭の事情を優先できる点を重視する傾向が伺える結果となった。