Texas Instruments(TI)は4月2日、自社の超低消費電力マイコン技術を用いることで、48MHz駆動時で95μA/MHzの動作時消費電力と850nAのスタンバイ時消費電流を実現した産業・ビルディングオートメーションや産業用センサなどに向けた32ビットARM Cortex-M4Fマイコン製品「MSP432」を発表した。

Texas InstrumentsのGeneral Manager,MSP microcontrollersであるMiller Adair氏

同社 General Manager,MSP microcontrollersであるMiller Adair氏は、同製品シリーズについて、「MSP430に続く低消費電力マイコンで、MSP430よりも高性能を実現した。これによりシステムの内部にさまざまなセンサを搭載したいが、電力消費量を増加させたくないというニーズに応えることが可能になった」と説明する。

具体的には、MSP430の顧客はすでに1万3000社おり、そうした企業すべてに対して、MSP430同等の低消費電力を維持しつつ、性能を向上させる機会が提供できるようになったとしており、16ビットから32ビットまで広くアプリケーションの高性能化を図ることができることを強調した。

Cortex-M4FはDSPとFPUを搭載しており、EEMBC(Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)によるCoreMarkスコア3.41/MHzならびに167.4のULPBench スコアを達成している。また、リードと消去を同時に実行可能なフラッシュメモリや、13.2ENOBの14ビット/1MSPSのA/Dコンバータ(ADC)が搭載されているほか、DC/DCコンバータの集積による対LDO時での約40%の電力削減、高速動作時の電力効率最適化、LDOの集積によるシステムコストの低減などの工夫が施されている。

MSP432の概要

なお、同製品はすでにフラッシュメモリが256KB、SRAMが64KBの「MSP432P401RIPZ」が提供されており、近いうちにフラッシュメモリ128KB、SRAM32KBの「MSP432P401Mxxx」シリーズが提供される予定。価格は1000個受注時(参考価格)で2.15ドルからとなるという。また、ローンチパッド・キット「MSP-EXP432P401R」は単価(参考価格)12.99ドルで、ターゲット・ボード「MSP-TS432PZ100」は同89ドルで供給されるとしている。

MSP432のラインアップ。パッケージとフラッシュメモリ、SRAMのサイズにより6製品が現在予定されているが、Adair氏によると、今後もラインアップの拡充は図っていく予定とのこと