東京メトロが2015年度事業計画を発表した。設備投資予算は同社発足以来最高額となる1,337億円。安全対策(車両更新・ホームドア整備など)に531億円、旅客サービス(バリアフリー整備など)に447億円を投資するほか、各路線の輸送改善にも取り組む。

東京メトロ銀座線1000系。来年度は10編成導入される

銀座線では引き続き1000系による車両更新を実施。来年度は10編成を導入し、全38編成中31編成が1000系となる。2016年度には車両更新が完了する予定だ。ホームドアの設置も進み、来年度は上野駅渋谷方面ホームで供用開始予定。2018年度までに全駅(大規模改良工事予定の駅は除く)で設置完了をめざす。

下町エリアの神田~浅草間では、駅デザインコンペの内容を踏まえ、来年度から駅改装工事に着手。銀座線の輸送改善を目的に、朝ラッシュ時間帯に運行される上野駅始発列車の一部が浅草駅始発に変更されるほか、さらなる安定輸送の向上のため、浅草駅構内の折返し線延伸を検討することも明らかにされた。

丸ノ内線では輸送改善の施策として、方南町駅でホーム延伸工事が行われるという。現在の方南町駅は3両編成の列車のみ発着しており、6両編成にも対応できるようにホームを延伸することで、池袋方面からの直通運行に向けた整備を推進する。また、日中時間帯の新宿駅折返し列車の一部を荻窪駅まで延長し、利便性向上を図るとしている。

東西線では混雑緩和・遅延解消に向けた取組みが進められる。車両のドア位置・ドア幅の異なる列車が運転される路線向けに設計された大開口ホームドアの実証実験を妙典駅で行い、その結果をもとに都心部の駅での試験実施を検討する。

日本橋駅・茅場町駅・木場駅・東陽町駅でホーム延伸・拡幅などの駅改良工事も実施。南砂町駅では線路・ホームが増設される。飯田橋~九段下間の折返し設備も整備され、平面交差の解消により、将来の列車増発が可能になるとのこと。これらの工事はおおむね2018~2020年度に完成予定とされている。大手町・西船橋駅の改装工事も進められる。

日比谷線では2016年度から片側4ドアの新型車両が導入される予定

東京メトロ千代田線16000系。来年度は8編成導入される

日比谷線では、霞ケ関~神谷町間に設置予定の虎ノ門新駅(仮称)の整備を進めるほか、ホームドア設置工事着手に向けた設計も行われる。千代田線は来年度、16000系を8編成導入。北綾瀬駅では10両編成での運行に対応できるようにホーム延伸工事が推進され、代々木上原方面への直通運行に向けて整備される。

有楽町線・副都心線では、千川~小竹向原間連絡線工事の線路切替が完了し、平面交差を解消。輸送の安定化が図られる。副都心線東新宿駅では、遅延対策のため交互発着機能を付加。明治神宮前駅では平日の日中時間帯も急行を停車させ、利便性向上を図る。半蔵門線では清澄白河駅折返し列車の一部を押上駅まで延長。ホームドア設置についても、相互直通運転を行う他社と協議し、早期設置に向けて検討を進めるとのこと。