スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」)は3日、シャープの長期会社格付けと長期優先債券の格付けを「CCC+」へ引き下げた。格下げ方向の「クレジット・ウォッチ」(CW)は継続する。

今回の格下げと引き下げ方向のCWは、同社が主要取引銀行に対し、債務の株式化、既存債務の条件変更、債権放棄など、S&P定義で「SD(選択的債務不履行)」に該当する形の支援を要請する可能性が、以前より高まったとのS&Pの見方を反映したもの。仮にS&P定義で「SD」に該当する形態の支援が提供される可能性が、今後数カ月の間に一段と高まるとS&Pが判断した場合には、さらに複数ノッチの幅で格下げとなる可能性がある。

S&Pによると、シャープの格付けには従来、財務プロフィールや流動性の分析を通じて、主要取引銀行による支援を強く織り込んでいる。一部報道では、同社が主要取引銀行に対して債務の株式化を要請すると伝えられている。

S&Pでは、同社の業績の悪化を背景に、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が拡大していることから、同社をとりまく金融市場環境がさらに悪化する可能性があるとみている。その結果、同社が主要取引銀行に対して、債務の株式化、既存債務の条件変更、債権放棄など、S&P定義で「SD」に該当する形の支援を要請する可能性が以前より高まったとみている。

S&Pでは、同社の今後の収益見通しと銀行の支援姿勢を改めて確認したうえで、格付けを見直し、CWを解除するとしている。S&P定義で「SD」に該当する形態の支援が提供される可能性が、今後数カ月の間に一段と高まると判断した場合には、さらに複数ノッチの幅で格下げとなる可能性があるという。