Instagramのイベント活用は、情報拡散のモチベーションを提供するかと合わせて、いかにハッシュタグを周知させ、ブランド体験を可視化させるかがポイント!800以上のInstagram投稿を創出したYSLのイベントから、ハッシュタグ活用のポイントをご紹介します。

こんにちは、SMMLabの藤田です。

企業活用のニーズが高まりつつあるInstagram。特にイベントでの活用はO2Oの相乗効果が期待出来るため、検討されている方も多いのではないでしょうか?しかし、単にハッシュタグを用意してInstagramに投稿してもらうのを待つだけでは、もったいない!イベントならではのブランド体験をオンラインに発信してもらいやすくする工夫で、Instagramのマーケティング効果をより大きくすることが出来ます。

今回は、2月14日、15日限定で開催されたイヴ・サンローランのPOP-UPスペースイベントに先立ち、プレスの他モデルやインスタグラマーといったインフルエンサーを招待して行われたプレオープニングパーティーから、ハッシュタグをフル活用したInstagramでのクチコミ醸成のポイントをご紹介します。

YSL期間限定POP-UP BOX【VOLUPTE Labyrinth by YSL(ヴォリュプテ ラビリンス バイ イヴ サンローラン)】は、表参道の人気カフェを新製品「ヴォリュプテ ティントインオイル」のイメージでラッピングし、ラビリンス(迷宮)をテーマに、ブランドの世界観を楽しめる体験型デジタルコンテンツや、製品をゆっくりと試せるタッチアップスペースなどを用意したブランド体験イベント。

前日に開催されたプレオープニングパーティーには、モデルやメイクアップアーティストといったセレブリティの他、Instagramで影響力を持つインスタグラマーなど約500名ほどが来場。公式ハッシュタグとして指定した「#ヴォリュプテオイル」に800を超える投稿が集まるなど、インフルエンサーの発信力が大いに発揮されたイベントでした。

このように、影響力の強いインスタグラマーがイベントの様子を投稿してくれれば、その拡散力は大きなパワーとなりますが、情報感度が高いインフルエンサーが「発信したくなる」イベント設計は非常に難しいのではないでしょうか。

そこで、まずは今回のイベント開催の目的とSNSによる情報共有について、日本ロレアル株式会社イヴ・サンローラン・ボーテ事業部のデジタルマーケティングマネージャー田尻 梢氏にお聞きしてみました。

日本ロレアル株式会社イヴ・サンローラン・ボーテ事業部 デジタルマーケティングマネージャー田尻 梢氏

「パーティーやイベントはYSL Beauteの製品を実際に使っていただく“体験”の場として、とにかく楽しんでいただくことを目的としています。

元々女性にとって、気兼ねないご友人とメイクをしながらおしゃべりするのは、とても楽しい時間。さらに今回は、フォグスクリーンや投げキッスゲームなどブランド体験が出来るコンテンツもご用意したことで、空間全体で製品を楽しんでいただくことが出来たと思います。

また、ハッシュタグは興味や関心のある人同士と繋がることが出来るので、同じようにメイクの好きな方が繋がっているフォロワーの方に、この体験を共有をしたいと思っていただけたのではないでしょうか。特に、Instagramは自分が好きなライフスタイルをおくっている人や、憧れの人をフォローしていくユーザーが多いと思いますので、セレブリティやインスタグラマーの方々の発信によって、日頃YSL Beauteに馴染みがない方や、近くにカウンターがない方にとっても、今回のイベントや製品について知っていただける良い機会になったと思います。」

とのことで、SNSに発信してもらうことを目的にするのではなく、あくまでも特別なブランド体験の提供に徹底したことが、結果としてInstagramでの共有に繋がったようです。その日、その場所に居なければ体験できないという限定感のある“特別な”フィジカル情報だからこそ、同好のネットワークであるInstagramに発信したいというモチベーションになり、イベントに参加できなかった人にも疑似体験を提供出来たということですね。

ただ、今回のイベントでは、価値ある「体験」提供の他にも、情報共有がされやすくなる様々な工夫がされていたので、そのポイントをご紹介しておきたいと思います。

思わず写真を撮りたくなる撮影スポットを多数用意

まず、受付して直ぐにプロのカメラマンが撮影してくれるシューティングブースを用意。ブランド名をデザインした背景パネルやハッシュタグが書かれたパネル、印象的な唇の形のアプリケーターを模した小道具などを用意して、来場記念として「撮りたくなる」気分を盛り上げていました。

その他にもブランドロゴのモニュメントやイメージモデルのパネル、製品のデコレーションケースなど、インスタグラマーが写真に撮りたくなるようなポイントが会場に複数設置してあったため、参加者はスマホをかばんなどにしまうことなく、ずっと片手にイベントを楽しんでいました。

「撮りたくなる」極めつけがこの「フォグスクリーン」。人工的に発生させた霧にプロジェクターで映像を映し出す「霧のスクリーン」に新製品のイメージムービーを投影。その不思議な光景にシャッターを切る参加者が後を絶ちませんでした。またこのスクリーンの霧からは、製品の特徴でもあるマンゴーの香りが漂い、記憶に残りやすい嗅覚も刺激する仕掛けとなっていました。

公式ハッシュタグの周知を徹底。来店促進のためのチケットも配布。

公式ハッシュタグは、欧文だと馴染みのない単語に関してはスペルミスや入力がちょっと面倒だと感じるユーザーもいるため、「使ってもらう」ことを目的として日本語で設定。また「#ヴォリュプテオイル」と製品名を入れることで、「覚えてもらう」効果も考慮しています。また、会場の至る所にハッシュタグを記載したパネルを用意。撮った写真をSNSにアップする際に、すぐに「ハッシュタグ」が目につく設置になっていました。

さらに製品のパンフレットにも公式ハッシュタグを記載。今回のイベントに参加していなくても製品についての投稿がハッシュタグに集約される工夫がされていました。

InstagramやTwitterで「#ヴォリュプテオイル」というハッシュタグを検索すると、今回のイベントでの体験だけでなく「ヴォリュプテ ティントインオイル」という製品に関する投稿も多く、ハッシュタグが製品情報に触れる「きっかけ」になっていることが分かります。

また、イベントでは製品販売はしていませんでしたが、カウンターにはイベント会場で配布した限定ノベルティのチケットを持参した人のほか、今回のレセプション+2日間のイベントの情報を通して足を運んだであろう人も多く、品薄になった店舗や製品もあったとのこと。

田尻氏は「今後もメイク製品を中心に新発売のたびにハッシュタグを作り、YSL Beauteファンの方々とブランドの間で写真共有が出来れば」と考えているといいます。

参考
YvesSaintLaurentBeautyJAPAN 公式Instagram
yslb_jp
http://instagram.com/yslb_jp

ハッシュタグを使いたくなるソーシャルメディアプリンター

プレオープニングパーティーの会場にはもうひとつ、ハッシュタグを活用した興味深いコンテンツが提供されていました。スマートフォンのカメラを使ったソーシャルメディアプリンター「FOTOfwd(フォトフォワード)」です。

スマートフォンのカメラを使ったソーシャルメディアプリンター「FOTOfwd(フォトフォワード)」は、指定のハッシュタグ(今回は「#oilrouge」) をつけてFacebook、Twitter、Instagramに投稿すると、モニター上にリアルタイムに自動で収集・表示され、参加者は30秒ほどで投稿した写真をシールとしてプリントアウト出来るシステムです。

フリープリントシールのフレームはブランド名やイベント名などオリジナルにカスタマイズすることが出来るため、イベントに参加しないと手に入れられない限定感のあるノベルティーなります。

さらにこのシステムでは投稿された写真の数以外にも、総いいね数、コメント数などがリアルタイムにデータとして確認できるため、イベントがどの位話題になっているのか、どのくらいの関心を生み出すことが出来たのかなど、イベントの成果を可視化することが出来るそうです。

また、プリントアウト完了までの約30秒間に動画を見せることも出来るので、新たな広告媒体としての可能性も感じられます。

日本でのイベント活用は今回が初だったそうですが、アメリカではMARC JACOBSのイベントで活用された他、今年の春からはエナジードリンク“MONSTER”の協賛で全米の80大学で導入されるなど、注目を集めています。プリクラ的な楽しさでハッシュタグの利用を促進することが出来るので、日本でもイベントや店舗などでの活用に効果が期待できそうです。

まとめ

「ユーザーの興味・関心にダイレクトにマッチする」というハッシュタグの利点を、イベントの体験価値と掛けあわせることで、製品をより多くの人に語ってもらえる場を作ることが出来ることがお分かりいただけたのではないでしょうか。ハッシュタグを利用できるプラットフォームはInstagramに限りません。TwitterやFacebook、Pinterestなど、様々なソーシャルメディアを活用している企業ほど、ハッシュタグの「横串」メリットを享受出来るはずですので、ぜひ自社に合わせた活用方法を考えてみてはいかがでしょうか?

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。

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