NHK連続テレビ小説『マッサン』が19日、スタジオ収録のクランクアップを迎え、"マッサン"こと亀山政春役の玉山鉄二、亀山エリー役のシャーロット・ケイト・フォックスがNHK大阪放送局で記念セレモニーに出席した。

NHK『マッサン』のスタジオ収録を終了した(左から)シャーロット・ケイト・フォックス、玉山鉄二

昨年5月よりスタートし、およそ10カ月に及んだスタジオ収録を締め括ったのは、マッサンが糟糠の妻・エリーの最期を看取るドラマ終盤のクライマックスシーン。夫婦がこれまでの人生を振り返り、2人きりの最後のときを過ごす感動的な場面だ。その熱演を終えた玉山とシャーロットは、スタジオのセット内に設けられたセレモニー会場に現れ、モニターに映し出された自らの演技をチェック。併せて流されたマッサンとエリーの歴史を綴る過去のダイジェストシーンを、さながら本物の夫婦のように寄り添いながら見つめた。シャーロットは玉山の腕にしっかりと手を絡ませながら嗚咽。玉山もしきりに目頭に手を当て、感極まった様子だった。

続いてスタッフから、「以上で『マッサン』、スタジオ撮り切りです!」と声がかかると、互いを労うように固いハグを交わした玉山とシャーロット。脚本を手がけた羽原大介氏、共演者の八嶋智人、小池栄子らもスタジオに駆けつけ、小池からは「2人の笑顔に本当に助けられました。一緒にお芝居できたことは私の宝物です」と、八嶋からは「本当にお疲れさまでした。2人に引っ張っていっていただいて、我々は本当に楽しく撮影することができました。サンキューソーマッチ!本当にアイラブユーです!」と感謝の言葉を贈られた2人は、晴れやかな笑顔を見せながらも、終始涙が止まらない様子だった。

セレモニーであいさつに立った玉山は「クランクイン当初は、ヒロインが外国人ということで『僕が引っ張っていかなければ』と無理をしていた日々がありました。でも、シャーロットとお芝居をしていく中で、そんな自分はバカげていると思った。シャーロットのがんばりや苦しみ、スタッフさんたちの情熱や汗、ほかのキャストのみなさんの僕を支えなければ、僕は何度も折れていたと思います。収録の中盤以降は、とにかくカッコつけないで、自分らしく乗り越えることができました」と収録を振り返り、「『マッサン』という場所は、僕が初心に返る場所だったと心の底から思っています。愛がたくさん溢れたすばらしい現場でした」とまた涙。

一方、シャーロットも「ごめんなさい。今日は日本語のスピーチを考えていたんですが、泣きすぎてすべて消えてしまいました」と溢れ出す涙を拭いながら英語で挨拶を。「特に8月、9月の収録は、今日という日が来るのが信じられないほど大変でした。でも、本当にいい経験をさせていただいて、これからの自分の人生の糧にしていけたらと思います」と感慨深げに語り、「特に玉山さん、マッサンに心からお礼を言わせてください。私が日本で初めての仕事ということで、すごく忍耐強く、やさしく、ポジティブに接していただいて、私を支えてくれました。最初は恐怖もあったんですが、日々の収録でスタッフやキャストのみなさんに愛情の大切さを教えていただきました。私は恵まれすぎていると思うほどです。感謝の気持ちが体中に溢れています」と感謝を述べた。

セレモニーの最後には、2人そろって「ありがとうございました!」と深々と頭を下げた玉山とシャーロット。スタジオ収録を終え、「今、やりたいことは?」との質問が飛ぶと、玉山はマッサンのモデルであるニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏の親族から、竹鶴氏が実際に使っていたウイスキーグラスを贈られたことを明かし、「このグラスにウイスキーを注いで、ゆっくり飲みたい」と。シャーロットは、母国・アメリカにいる「家族に会いたい」と漏らし、「収録中はホームシックになったこともありましたが、ひとりになったことで強くなれた。また日本でお仕事のオファーがあったら一所懸命やりたいし、私はもともと旅人の気質があるので、依頼があったら世界中いろんなところでお仕事がしたいです」と世界を股にかけた女優業に意気込みを見せた。

なお、『マッサン』の収録はこの後に予定されている北海道ロケでオールアップ。放送は3月28日で最終回を迎える。