韓国Samsungは現地18日、モバイルウォレット技術ベンチャーの米LoopPayの買収で合意したことを発表した。買収金額など詳細情報は非公開。米Appleの「Apple Pay」が米国で好調なスタートを切る中、Samsungも対抗サービスを提供する可能性が出てきた。

LoopPayは、米国のクレジットカードで主流の磁気ストライプを読み取るリーダー(読み取り機)を非接触型端末として利用できる「Magnetic Secure Transmission(MST)」技術を開発する。MSTを搭載したスマートフォンケースまたは小型のドングルをかざすことで決済を可能にする。

専用読み取り機をスマートフォンに装着して決済に使用する

利用にあたって、コンシューマーは専用の読み取り機をスマートフォンに装着して自分のクレジットカードを読み取り、その情報をスマホ側に格納する。クレジットカード以外にもWalgreensやStarbucksなどのギフトカードやロイヤリティーカード、運転免許証などの身分証明書の記録も可能だ。格納した情報はLoopPayアプリで管理でき、ショップで利用するときは使用するカードを選択して転送ボタンを押すと無線通信でショップのPOS端末とやりとりできる。データは暗号化されており、アプリにはPIN番号などのロック機構を持つため、安全性も高いとしている。

コンシューマーのメリットとしては、カードを財布から出すことなく手元にあるスマホで決済が済ませられられ、ショップや小売店のメリットとしては、既存のクレジットカード読み取り機をそのまま利用して、LoopPayによる決済を受け付けることができる点が挙げられる。アプリはiOS 7以上、Android 4.3以上に対応する。

LoopPayのWebサイトによると、全米1000万カ所以上の店舗などで利用できるという。SamsungとLoopPayによると、既存のPOS端末の約90%で利用できると見積もっており、「最も広く受け入れられている」と主張している。

なお、LoopPayのWebサイトには「Apple Pay対LoopPay」として、LoopPayの優位性(利用できる小売店は「Apple Payが5%以下に対しLoopPayは約90%」、対応するカード発行社は「Apple Payが90社に対し、LoopPayは1万以上(クレジットカード、デビットカード、ギフトカード、ロイヤリティーカード、プリペイドカードなどを含む)」など)を強調している。

LoopPayは2013年にクラウドファウンディングからスタートしたプロジェクト。LoopPayのCEO、Will Graylin氏によると、買収後もマサチューセッツ州ボストンにある本社で独立した組織として開発と運営を進めるとしている。

SamsungとLoopPayがモバイル決済サービスで協議中であることは、2014年12月に主要メディアにより報じられていた。