芝浦工業大学は2月12日、実施する授業「システム工学特別演習」、「産学・地域連携PBL」において、学生のチームが埼玉県川口市の企業とともに、段差を乗り越えやすい機構を搭載した車いすを開発したと発表した。

今回、企業から芝浦工業大学に、川口市の技術を使ってビジネスになるBtoCの製品をつくれないかという相談があった。そこで、2014年4月から大学院システム理工学専攻の授業「システム工学特別演習」にて大学院生6名によるアイデア創出を行い、9月中旬から「産学・地域連携PBL」において、大学院生2名と学部3年生2名、計4名でチームを組み、栄精機製作所を中心にした川口市内の企業とともに、プロトタイプ製作プロジェクトをスタートさせ、川口市の産業振興に寄与するため、企業の高い技術力を盛り込んだ新たな機能を持つ車いすを開発することになったという。

これまで、車いすで段差を乗り越えるときや車輪が溝にはまったときなどには体重移動で前輪を浮かす操作が必要だったが、転倒する危険を伴う。そこで、段差や脱輪に強い新たな機構をコンセプトとし、設計、プロトタイプの製作を行った。そして、開発したのが、尺取り虫の動きを参考にした、前輪、中輪、後輪の計6輪の機構である。手元のレバーを前後に動かすことで容易に段差を乗り越えたり、溝から車輪を持ち上げることができる。

製品化に向けては、衝撃の吸収・強度改善のための素材の検討や、後輪を段差に乗り上げるための工夫、既存の車いすへ搭載するための装置化などの課題があるものの、今回の学生の提案は、企業からも高い評価を得ているという。今後は、引き続き学生と企業で打ち合わせや実験を重ね"MADE IN 川口"としてビジネスになる製品を目指して取り組んでいくとコメントしている。

開発した前輪と中輪の機構

同機構を利用して、手元のレバー操作で段差を乗り越えた状態