帝国データバンクは16日、2015年度の賃金動向に関する企業の意識調査の結果を発表した。それによると、2015年度の賃金改善を「ある」と見込む企業は前年度比1.9ポイント増の48.3%となり、2006年1月の調査開始以降で最高となった。

賃金改善状況の推移

「ある」と見込む企業を業界別に見ると、「建設」が51.2%で2年連続のトップ。以下、「サービス」が49.8%、「製造」が48.9%と続いた。

賃金改善の具体的内容については、ベアが前年度比2.7%増の36.7%、賞与(一時金)が同0.4ポイント減の27.4%となり、賃金改善をベアで実施する企業が広がっていることが推察される。

賃金を改善する理由を聞くと、最も多かったのは「労働力の定着・確保」の68.0%で、リーマン・ショック前の2008年度に次ぐ高水準を記録した。次は「自社の業績拡大」の48.0%で、2年連続の減少。また、人手不足が続くなかで「同業他社の賃金動向」を挙げる企業が過去最高の20.1%となった。

一方、改善しない理由は、「自社の業績低迷」が前年度比7.3ポイント増の65.3%で最多。前年度調査で2位だった「消費税率引き上げ」は16.0%と、同8.7ポイント減少した。

2015年度の総人件費は平均2.50%増加する見通し。従業員の給与や賞与は総額で約3.2兆円増えると試算している。

調査期間は2015年1月19日~31日、有効回答企業数は1万794社。