ティアックは2月12日、KOSSのヘッドホン「SP330」「SP540」「Pro4S」を国内発表した。そして2月14日、東京・中野サンプラザの「ポータブルオーディオ研究会2015冬(ポタ研)」において、その製品発表会を開催した。

ポタ研でKOSSのヘッドホン「SP330」「SP540」「Pro4S」の発表会が開催された

密閉性を高めるD型ハウジングの「SPシリーズ」

最初に紹介されたのは、SP330とSP540(SPシリーズ)。この2製品について、KOSS社は「1958年にKOSSの設立者であるジョン・コス氏が最初のヘッドホン"SP3"を開発したときのように、革新的な気持ちを持って開発した」としており、まったくゼロの状態から新しいヘッドホンとして作り上げた製品となっている。

左が「SP330」で、右が「SP540」

SPシリーズの大きな特徴がD型のハウジングだ。KOSSの国内代理店を務めるティアックの松野氏によると、密閉型のヘッドホンの再生能力は、密閉された空間のなかで、どのように空気が振動するかで決まってくる。多くのヘッドホンが採用している円型のハウジングでは、耳の形に完全にはフィットしないため、隙間からどうしても音が逃げる。D型のハウジングは耳の形に合わせることで密閉度を高められるという。

ティアック 音響機器事業部 プロフェッショナルオーディオビジネスユニット 事業企画部 輸入商品課 課長の松野陽介氏

また、イヤーパッドには低反発素材「メモリーフォーム」を採用。さらに、イヤーパッドの形状にも工夫がなされており、顔の曲面に合わせた高低差が付けられている。D型のシェイプと、このイヤーパッドにより、完全な密閉空間を作り、確実に鼓膜に音を届ける。

左が「SP330」、右が「SP540」のイヤーパッド部分

また、ポータブルヘッドホンであるSPシリーズでは、軽量化も進められている。KOSS社は、都市部などではヘッドホンを使用する時間が長くなる傾向があり、それは今後さらに進むと考えている。SPシリーズの軽量化は長時間の使用でも快適に使用できることを目的としたものだ。ただし、やみくもに世界最軽量を目指すのではなく、あくまでもKOSSの目指すサウンドを実現したうえで軽量化を進めている。

松野氏によると、SPシリーズのサウンドは「からっとして低域がパワフルな伝統的なアメリカンサウンド」とのこと。軽量化された新生代のポータブルヘッドホン、SPシリーズでもKOSSらしさは失われていないようだ。

サウンドチューニングに2年かけたスタジオモニター「Pro4S」

同時発表されたPro4Sは、スタジオモニターヘッドホン。前述のように、KOSSのサウンドはパワフルな低域が特徴的なアメリカンサウンドなのだが、Pro4Sはそれを封印し、あえてフラットな特性を持つヘッドホンとして開発された。KOSS社ではこのフラットなサウンドを作るのに、チューニングに約2年かけたとのことだ。

「Pro4S」

また、また、サウンドだけでなく、新たに音楽制作向けの機構を2つ搭載している。それが「デュアルエントリー機構」と「デイジーチェーン機構」だ。

Pro4Sは着脱式のケーブルを採用しているが(SPシリーズも着脱式)、普通の着脱式と異なるのは、左右のハウジングにそれぞれコネクターを装備している点。これがデュアルエントリー機構だ。音楽制作の現場では機材の位置が常に一定ではないため、このように左右どちらのコネクターにケーブルを差してもサウンドを鳴らせると便利だ。

また、2つあるコネクターのうち片方を出力としても使用することができる。これを利用したのがデイジーチェーン機構だ。複数人で同じ曲をモニターする際に便利な仕組みだ。松野氏によると、2~3台までのPro4Sをデイジーチェーンして演奏させることが可能だそうだ。

複数の「Pro4S」をつなぎ、同時に聞くことができる「ディジーチェーン機構」

未発表のBluetoothヘッドホンも参考出展

会場ではもう1台、未発表のBluetoothヘッドホン「BT540i」が参考出展された。ベースになったモデルは「ProDJ200」。これに通話など多くの機能を盛り込んだのがBT540iだ。Bluetoothユニットを組み込んではいるが、KOSS独特のアメリカンサウンドは失われていない。NFCに対応しているほか、高音質コーデックのaptXも利用可能だ。バッテリーは約8時間の連続使用が可能となっている。

参考出展された「BT540i」

「ProDJ200」をベースにしているため、ハウジングは円型

aptXやNFCなど、最新のBluetoothヘッドホンとして満足できる機能を装備

人間工学に基づいたボタン配置を採用