日本の歩道橋のデザイン、どう思う?

交通量の多い道路には必ずある歩道橋。最近では駅のロータリーに重なるようにつくられた上空通路や道路をまたぐショッピングモールの通路など、従来の枠には収まらない形も見かけます(正式には歩道橋ではないのですが…)が、一般的には屋根のない階段型がおなじみですよね。

歩道橋は世界各地に存在する施設ですが、海外から来られた方は日本の物をどう見ているでしょうか。日本在住の外国人20名に「日本の歩道橋のデザイン、どう思う?」と質問してみました。

■普通だと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■普通。(ドイツ/40代前半/女性)
■普通だと思います。(アメリカ/20代後半/男性)
■普通。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■普通です。(ブラジル/20代後半/男性)
■普通です。(ベトナム/30代前半/女性)
■普通だと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■無難だと思う。(韓国/40代後半/男性)

あまり意識したことがないのでしょうか、普通という回答が最多になりました。歩道橋は1960~70年代のモータリゼーション化で増えた交通事故を減らすべく作られた交通施設。日本初の物は、1959年に愛知県に設置された「学童専用陸橋」です。その後も渋滞緩和の手段として各地に設置されました。

■いろんな形でかっこいいと思います。使いやすい。(フィリピン/40代前半/女性)
■優れていると思う。たいしたアイデアだ。(チュニジア/40代後半/男性)
■安全性がある。(台湾/40代前半/男性)
■しっかりしていて安全です。(スペイン/30代後半/男性)

元々交通渋滞の緩和と安全性を高めるために設置された物ですから強度はバッチリ。設置後30~40年が経ったものが今も現役だと考えると、ちょっとすごいですよね。ちなみにフィリピンやチュニジアにも歩道橋はありますが、日本の物とはかなりデザインが違うようです。

■デザインが古いと思います。(中国/20代後半/女性)
■古いです。(イスラエル/30代後半/女性)
■ちょっと古い。(ロシア/20代前半/女性)
■階段だけの所はベビーカーだとアクセスしにくいです。(トルコ/30代前半/女性)

歩道橋の多くは1960年代後半~70年代前半に建設されていますから、「古い」という印象は否めません。トルコの方の回答のように、ベビーカーでは上がれない所も確かに多いんですよね。そのため、近年では歩行者のみを想定した階段状の歩道橋を自転車も通れるスロープ付き、高齢者や車いすでも楽に上がれるエレベータ付きの歩道橋に掛け替える自治体が増えています。

またその一方で、建て替えずに撤去する自治体も増えているのだとか。例えば、札幌市では「札幌市横断歩道橋のあり方検討委員会」を設置され、「横断歩道橋の利用者が少ない」、「歩行者の安全性に問題が生じる」、「歩道空間を狭くしている」といった3つの視点で候補を選定。市と市民が撤去に向けた協議を行っているそうで、以前の公共施設にはなかった新たな動きが起こっていると言えます。

■屋根がついていないのは残念です。(マレーシア/30代前半/男性)
■きれいな物も狭い物もあるのでなんとも言えないです。(タイ/30代後半/女性)
■いろいろですね。あまりよくない物も多いです。(スウェーデン/40代後半/女性)
■使いにくい。(オーストラリア/40代前半/男性)

屋根が付いた歩道橋が少ないのは「屋根を有するものは、建築物として取り扱う」という建築基準法にかかるほか、消防法や道路法なども含めた各所への申請が必要になってくるからだそう。とはいえ、雨の日やベビーカーを使うママたちには便利なもの。施設分類としては異なるのですが、上空連絡通路のような形が増えるとよさそうですね。

例えば、並木道を横切る神宮前五丁目歩道橋はドラマのロケでもおなじみ。こんな風に地域の象徴として、また風景を楽しむベストスポットとしての役割を持つ歩道橋もあります。単なる交通施設というだけでなく、惜しまれつつ撤去されたJR原宿駅前のように、「風情のある歩道橋」を探してみるのも面白そうです。