三菱重工は2月5日、油圧ドライブ式大型洋上風力発電設備の陸上実証試験を英国ハンターストンで開始したと発表した。動力伝達機構にデジタル可変容量制御を行う油圧ドライブトレインを持つ風力発電設備として世界初の実証実験になる。

同設備は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と英国ビジネス・イノベーション・職業技能省および同国技術戦略委員会の支援を得て開発しているもの。ブレードの長さは81.6m(ローター径167m)で、ハブの高さは約110m、全体の高さは200m近くまで達する。

新型油圧ドライブトレインは2011年に買収した英ベンチャー企業との共同開発によるもので、増速機やインバーターを必要としないのが特徴。風のエネルギーをポンプで油圧に変換・デジタル制御し、ブレードの回転速度(約10回転/分)を、発電機の回転速度(1000回転/分)に増速することができる。

同社は今回の陸上実験の結果を踏まえ、福島沖で実施される浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業に、2015年度に油圧ドライブ式大型風力発電設備を供給し、さらなる実証実験を行っていく計画を立てている。さらに、商用化・量産化の目途が立てば、洋上風力発電設備専業会社であるMHIヴェスタスへこの新型油圧ドライブトレインを供給することを検討していると明かした。

新型油圧ドライブトレインを採用した大型風力発電設備 (NEDOホームページより)