スカイマークは3月1日より上場を廃止する

スカイマークは1月28日に開かれた取締役会で、民事再生手続開始の申し立てを行うことを決議し、代表取締役社長の西久保愼一氏は代表権・取締役を辞任することを発表した。同社はすでに東京地方裁判所に申立てをしており、弁済禁止の保全命令、監督命令が発令され、ひいらぎ総合法律事務所の多比羅誠弁護士が監督委員に選任されている。

同社は2006年の設立後、2008年には定期航空運送事業免許を取得し、安全と低コストを両立した定期航空運送サービスを提供。2010年3月期には、売上高約410億円、営業利益約31億円を計上し、その後も2013年3月期までは、業績は堅調に推移してきた。

しかし、2012年6月からエアバスA330型機約10機のリースを受けて利用してきたところ、2014年1月頃から始まった急激な円安の進行により、これらのドル建てリース料の支払いが大きな負担になったという。加えて、競合他社との競争の激化、想定を超える円安の進行、燃料費の高止まりなどの要因により同社の業績は著しく悪化し、2014年3月期において18億4,500万円の当期純損失を計上した。

このような業績の悪化を受けて、同社は不採算路線の運行の休止などを通じてコスト削減に努めてきたが、徹底したコスト削減には至らず、業績の抜本的な改善にはつながらなかったという。その間、同社は2015年3月期の第2四半期においても57億4,400万円の当期純損失を計上し、同社の会計監査人による四半期レビュー報告書においては、継続企業の前提に疑義がある旨付記されることになったという。

加えて、同社は2011年2月18日にエアバス社と計6機のA380型機の購入契約を締結したが、その売買代金などの支払いをめぐるエアバス社との交渉が難航し、ついに2014年7月25日に当該契約について解除および7億ドル(約830億円)の解約違約金の支払いに関する通知を受けていた。スカイマークは当該解約違約金の金額に合理性がないと考え、現在も交渉を行っているが、当該解約違約金の支払いが発生すれば、さらに財政基盤が悪化することも懸念されている。

これらの要因から、スカイマークとしては自主再建は極めて困難であり、事業再生のために資金援助などを受けることが不可欠であるという判断に至ったという。現在、東京地方裁判所に対して民事再生手続開始の申し立てを行っており、所要の手続きを得た上で、インテグラルより資金援助、収支改善支援、および運営支援などを受けることになった。

今回の民事再生手続開始の申し立てを行うことを決議するにあたり、代表取締役社長の西久保愼一氏は代表権・取締役を辞任し、井手隆司氏が代表取締役会長に、有森正和氏が代表取締役社長に新たに就任する。井出会長は元ブリティッシュ・エアウェイズの日本地区営業部長で、スカイマークが就航後の1998年12月に代表取締役社長、その後に取締役副会長、取締役会長を務めていたが、2014年6月からは代表取締役会長となっていた。

スカイマークは今後、安全かつ安定した運航を維持し、事業の再生に向けて全力で取り組むと表明している。