猫が布団でおしっこをしてしまう場合の対処法を獣医師が解説

 

トイレ外での尿は猫の最も一般的な問題の1つです。特にお布団の上におしっこをされると被害は甚大で、一緒に暮らすのが困難になってしまいます。今回は猫が尿をトイレ外にしてしまう問題について解説します。この問題を引き起こす原因は多岐にわたり、その1つ1つを確認していかなければ改善させることはできません。

「不適切な場所での排尿」と「尿スプレー」を見分ける

トイレ以外の排尿と尿スプレーは根本的な原因が異なりますので、まずどちらなのか見極めることが問題を解決するための1歩になります。

尿スプレーの特徴

立ったままの姿勢で地面と水平に尿を飛ばしている時は尿スプレーです。実際に排尿姿勢をみていなくても、尿が付いている場所が猫の鼻ほどの高さであれば尿スプレーと判断して良いでしょう。ただしこれは典型的な例なので、低い位置に尿がしてあっても尿スプレーの可能性もあります。

他には飼い主さんの枕や脱いだ後の衣類、お気に入りの椅子など、特定の物が排尿場所になっていれば、尿スプレーによるマーキングを示唆します。また、未去勢の雄猫だけでなく雌猫や去勢した雄猫も尿スプレーをしますので注意が必要です。

尿スプレーは縄張と不安にもとづく行動です。室内飼いの猫の場合、自分に向けられる関心が減った、叱られた、家族の中で好いていた人がいなくなった、生活習慣が変わった、過密飼育、他の猫の存在(新しく飼われた猫、仲の悪い同居猫、野外をうろつく野良猫)などで不安が募ると臭いつけのためスプレー行動をします。

去勢手術を行っているかどうかもポイント

去勢手術をしていない雄猫の場合、手術を受けることが最も効果的な対策です。多くの雄猫は去勢手術をすると数日でスプレー行動をやめますが、中には数カ月にわたって徐々に回数が減っていく猫もいます。

既に去勢手術を行っている猫の場合、上記のような不安となる原因を探ります。不安要因の排除が尿スプレーを止めるための最も大切なポイントです。しかしながら、実際に不安を与えている要因を特定することは簡単ではありません。猫と猫、または猫と人の関係、家全体、家の周囲の環境を1つずつチェックしていきます。

尿スプレーの対策

外猫に対抗して尿スプレーをしている場合は、窓際に家具を置いて外を見られなくすると良いでしょう。特定の場所だけで尿スプレーをするのであれば、その部屋に入れないようにするだけで問題が解決することもあります。

特定の人の椅子や衣類にばかり尿スプレーをする時は、猫がその人を好ましく思っていないかもしれません。この場合は、対象にされている人が猫にご飯をあげる係をやると信頼関係が修復できることがあります。その間、他の家族は極力猫に接しないようにしましょう。

また、猫のフェロモンを人工的に生成したフェリウェイというホルモン製剤が、尿スプレーに対して一定の効果があると報告されています。

その他、過剰にストレスを感じやすい猫であり、他の行動学的な異常が見られた場合はお薬で治療することもあります。ただしお薬を使ったからといって魔法のように治ることは殆どありませんので、まずは環境改善に努めてください。

不適切な場所での排泄の特徴

不適切な場所での排泄は今のトイレ環境に満足していない、またはトイレをするのにもっと良い場所があることが原因です。トイレのすぐ近くに尿をしていたり、布団やカーペットなどの吸水性が良い素材の上でしていたりするケースがそれに当たります。

不適切な場所での排泄の対策

トイレ以外で排泄しているということは、猫にとっての居心地が「尿をした場所>トイレ」になっているということです。トイレの居心地をアップさせ、排泄されてしまった場所の居心地をダウンさせることが目標になります。また、関節炎や膀胱炎などの病気が関係していることもあります。

トイレ環境の改善

猫にとってトイレは非常にデリケートな問題であり、さらに好みが分かれるので最適なトイレ環境をつくってあげるには入念な観察が必要です。ここでは最重要項目8点に絞って説明します。

猫のトイレ最重要注意ポイント8項

1……掃除
1日2回掃除しただけで問題行動が消えることもあります。多頭飼いでは臭いが染み付くので猫砂全取り替えの頻度を早めます。

2……場所
静かで、人通りが少なく、行きやすい場所であることが重要です。

3……トイレの数
猫の頭数+1個が望ましいです。2匹飼いであれば3個のトイレが必要です。

4……サイズ
猫の全長の1.5倍が望ましいです。トイレの縁に乗って排泄しているのはサイズが小さい可能性があります。市販のトイレは殆どこの基準を満たしていないので、大きめのトレイなどで代用することも。

5……トイレの形
屋根なし、縁は低めを好む猫が多いです。今流行りの尿が下に落ちるシステムトイレだと高さが出てしまうのと、砂をかくときに揺れて不安定なので嫌う猫もいます。

6……猫砂
粒子小さめ、砂たっぷり、鉱物系を好む猫が多いです。猫の好みによるところが大きいです。消臭剤として含まれるクロロフィルの臭いを嫌がる猫もいるので注意が必要。

7……臭い
周囲の臭い、洗剤の臭いなど嫌な臭いがないかチェックしてみてください。猫は柑橘系の臭いを嫌うので、柑橘系の洗剤は使わないこと。長年使っているとプラスチックと尿が反応し独特の臭いを発します。

8……嫌な思い出
トイレ中の落雷や地震、トイレ付近での投薬など猫にとって嫌な思い出はないでしょうか。心当たりがある場合は、記憶をリセットさせるために思い切って場所を変えてみましょう。

排泄してしまった場所の居心地を下げる

トイレの環境を整えた次は、実際に猫が粗相してしまった場所の居心地を悪くしましょう。まず自分の尿の臭いが残っていると、安心してまたトイレをしにくるので、尿をした場所を徹底的に拭き取ります。この時、猫が嫌がる柑橘系の匂いがする洗剤を使うと良いです。

猫が寄りつきにくいように、粘着性のマットや、トゲトゲがついている猫よけマットを排尿した場所に設置します。猫の食事を粗相した場所に置くのも効果があります。猫は食事とトイレは離れた場所で行いたいからです。

また、霧吹きで水をかけたり、大きな音を出したりして猫の排尿を邪魔する方法があります。そこで尿をすると嫌なことが起こることを猫に学習してもらいます。この方法を行動学の用語で「嫌悪的条件つけ」といいます。この方法はタイミングが重要で、少しでも遅れると効果がありません。また過度に行うとストレスを感じて逆効果になることもあるので、必ずかかりつけの獣医師と相談しながら行いましょう。

上記方法で上手くいかない時は、よく粗相する場所にトイレを移動させると解決することがあります。猫が自ら選んだ場所なのですから、それに合わせてあげましょう。成功したら、毎日数cmずつ移動させて都合の良い場所に移動させましょう。

医学的な問題があるかも

トイレ環境とは関係なく、病気があるため不適切な場所で排泄している可能性もあります。ある報告では不適切な排尿の55%は病気によって起こっていたと報告されています。年をとってくると、トイレまでの移動やトイレの縁を乗り越えることが大変になります。また、膀胱炎によって排尿が自分でコントロールできなくなっていることなどが考えられます。

原因になる代表的な病気としては、猫下部尿路疾患(膀胱炎、尿路結石など)、関節炎、便秘、認知症、その他痛みを伴う病気全般、猫白血病/猫エイズウィルス感染、脳の病気などが挙げられます。

まとめ

猫がトイレ以外に排泄をしてしまう問題は解決するのに時間と手間がかかります。尿スプレーと不適切な場所での排尿とを見分けることも意外と難しいです。ある報告では問題を起こしている猫の80%には専門家のアドバイスが必要であったと報告されています。

また、トイレを使わない期間が長ければ長いほど改善は困難になります。もし愛猫がトイレ外での排泄を繰り返すのであればかかりつけの獣医師、または動物行動学の専門家に相談しましょう。

■著者プロフィール
山本宗伸
獣医師。Syu Syu CAT Clinicで副院長を務め、現在マンハッタン猫専門病院で研修中。2016年春、猫の病院 Tokyo Cat Specialistsを開院予定。猫に関する謎を掘り下げるブログnekopediaも時々更新。

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