講談社はこのほど、講談社学術文庫から新刊書籍『歴代日本銀行総裁論 日本金融政策史の研究』を発売した。著者は日本銀行理事などを務めた故吉野俊彦氏。価格は1,430円(税別)。

『歴代日本銀行総裁論 日本金融政策史の研究』

日本銀行総裁は、「通貨の番人」としてその重要性を知られている。しかも日本は現在「異次元の金融緩和」状態に突入しており、日銀と日本経済の行方を、国内のみならず世界中が注視しているところだ。同書は、日本を代表する歴史派エコノミストであった著者が、歴代の日銀総裁という「ひと」を通じて、日本の金融政策が発展してきた過程を紹介。31代29人それぞれの総裁の考えや行動を知ることで、「たしかな指針」を得ることができるという。

主な内容は、「第一章 吉原重俊論」「第二章 富田鐵之助論」「第三章 川田小一郎論」「第四章 岩崎彌之助論」「第五章 山本達雄論」「第六章 松尾臣善論」「第七章 高橋是清論」など。なお、学術文庫版では、原著刊行後(著者没後)の総裁の政策について、鈴木淑夫氏(元日本銀行理事、元野村総合研究所理事長)による補論「佐々木直から黒田東彦まで」を追加している。

著者の吉野俊彦氏は1915年千葉県出身。東京帝国大学法学部卒業後、日本銀行入行。長く調査局に勤務し、1970年理事に就任。日銀退任後は、山一証券経済研究所理事長などを務める。経済学博士で、かつ森鴎外、永井荷風の研究者としても知られる。2005年没。著者に『インフレーションの経済学』などがある。