桂勲 調査委員長

理化学研究所(理研)は12月26日、都内で会見を開き、外部の有識者で構成された調査委員会によるSTAP細胞論文の疑義に関する調査結果について発表した。

調査委員会は、STAP細胞が多能性を持つという証拠となるべきキメラ、テラトーマなどは、すべてES細胞の混入に由来するか、あるいはそれで説明できると断定。ただし、ES細胞の混入が故意によるものか、過失によるものかは同調査では判定ができなかった。

不正が指摘されていた論文中の2つの図については小保方晴子氏によるデータの捏造を認定した。聞き取り調査で小保方氏は「もともとの図では論文に使えないと言われた」と語り、意図的にデータを操作したことを認める発言をしたという。

また、論文の共著者で同氏を指導する立場であった山梨大学の若山照彦 教授と理研の丹羽仁史氏の不正は認められなかった。

調査結果のまとめ

調査委員会は、論文発表への焦りから研究への注意がおろそかになり、非常に多くの過失が見逃されたと指摘。調査委員長を務めた情報・システム研究機構の桂勲 理事は「生命科学を扱うどの研究室でも起こりうること。他の研究室においては責任をもって倫理観を教育しなければならない」とコメントした。

今回の調査報告を受けて理研は、研究者の意思に基づく活動、発表の自由が保障されなければならない一方で、研究社会の健全性を担保するには、機関として研究者の資質、倫理の維持・向上に万全を期する必要があり、8月に発表した「研究不正再発防止をはじめとする高い規範の再生のためのアクションプラン」を推進していくとしている。