モデルの押切もえが、自身2作目の小説「抱擁とハンカチーフ」を22日発売の雑誌『小説新潮』(新潮社)1月号で発表した。

12月22日発売の雑誌『小説新潮』(左)で短編小説「抱擁とハンカチーフ」を発表した押切もえ

押切は昨年8月、約3年にわたって書き上げた長編小説『浅き夢見し』(小学館)を発売し、インターネット書店「楽天ブックス」の読者投票によって「2013年隠れた名作No.1」に選ばれたことが話題に。初版1万部でスタートして間もなく、8,000部の重版が決定するなど、順調に売り上げを伸ばした。

25歳の売れないモデル・村田瞳がネガティブな感情やさまざまな試練に押しつぶされそうになりながらも「売れるモデル」へと成長していく姿を描いた前作。今作は80枚の短編で、自分の才能に疑問を抱く41歳の画家・彩未が前夫である人気画家や16歳になる娘、8つ年下の青年との関係に悩みながら、新たな絵の創作に向かっていく姿を描いた。

これを機会に「やりたい事と現実の間で悩んだり、格闘したりしている女性に寄り添う」連作小説を発表していく予定という押切。「昨年初めて書いた『浅き夢見し』に続き、また小説新潮で新しい作品を発表させて戴く事になりました。今度は短編連載です」と報告し、同誌には押切のほか林真理子氏、角田光代氏、筒井康隆氏らも短編小説を発表していることから「著名な作家さんたちの作品が並ぶ『小説新潮』の中に自分の初の短編が掲載されるなんて嬉しくて胸が一杯です」と感激。「沢山の方に読んで戴ければ幸いです」と呼びかけている。

執筆を依頼した担当編集は、今作について「40歳過ぎても現実との折り合いがつかず、いわば"こじらせ"ている彩未の内面の変化を鮮やかに描いています」説明。「彩未は、押切さんとは年齢も境遇も違う女性なのに、その心理や悩みや成長を具体的なエピソードで語り切って、見事に小説として完成させました。人物造形や物語の構成の巧みさは、『小説新潮』の編集長が舌を巻いたほど。文章もいい。彩未は画家ですが、『絵を描く』ということを文字で表現することは難しいのに、そこも達成しています」と称賛の言葉を送っている。