STMicroelectronicsは12月16日、ガルバニック絶縁とアナログロジック回路を1チップに集積したシングルチャネルゲートドライバ「STGAP1S」を発表した。

同製品は、STの次世代ゲートドライバ「gapDRIVE」の最初の製品であり、独自のプロセス技術であるBCD(バイポーラ・CMOS・DMOS)に、チップ上に絶縁層を生成する技術を組み合わせることで、より高度なシステム統合を実現している。さらに、同製品の高耐圧レールは、その他の回路に干渉することなく最大1500Vまで対応できるため、産業機器、600V/1200Vの高電圧インバータ、太陽光発電システム用インバータ、無停電電源装置に適したロバスト性を備えている。

また、信号伝播遅延時間を100nsに抑えており、高精度PWM信号の伝送が可能なのに加え、集積されているドライバ段は、最大5Aのシンクまたはソース電流とレールツーレール出力に対応しており、大型IGBTやワイドバンドギャップのSiC MOSFETなどのパワースイッチに使用される負駆動電圧を可能とする。そして、±50V/nsを超える高いコモンモード過渡電圧耐性により、絶縁層での通信の信頼性と、安全な動作が確保されている他、独立したシンク出力とソース出力が、設計の柔軟性を向上させると同時に、外付け部品の削減に役立つという。

加えて、SPIポートを内蔵しており、コントロールロジック設定とステータスモニタのための業界標準ホスト接続を提供する。ホスト側ではこのインタフェースを通じて豊富なデジタル診断機能を利用できるため、システム保護と信頼性がさらに強化される。

この他、同製品には、過酷な動作環境下においても信頼性を最大限に高めるさまざまな保護機能が搭載されている。例えば、トランジスタの予期しないターンオンを防止するパワー段のアクティブミラークランプ、短絡回路状態でパワースイッチを保護する不飽和検知機能、危険な電圧オーバーシュートを防止するコレクタ-エミッタ過電圧保護および出力2レベルターンオフ機能、加熱保護機能、低電圧ロックアウト(UVLO)および過電圧ロックアウト(OVLO)、過電流検知専用センサピンなどが含まれている。

なお、パッケージは小型のSO24W。価格は1000個購入時で約3ドルとなっている。

ガルバニック絶縁とアナログロジック回路を1チップに集積したシングルチャネルゲートドライバ「STGAP1S」