コベルコ科研と日本自動車研究所(JARI)は12月8日、2次電池の開発並びに協定規則R100.02 Part2の評価項目にも対応した2次電池の安全性評価事業において、11月1日付けで相互協力契約を締結したと発表した。

次世代型エネルギー利用社会の構築を目指した取り組みが輸送機メーカーを中心に進められており、その技術的中核の1つである2次電池の安全性評価体制の充実が強く求められている。また、自動車分野では、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)などの次世代自動車のさらなる普及が期待されており、その主要技術の1つが自動車用蓄電池システムで、その安全性を厳格に規定する動きが世界的に高まっている。すでに、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)においても、電気自動車などの安全性に係る協定規則の改正などが行われており、これを受けて日本国内でも、電気自動車などの安全性の向上を図るため、R100.02に対応した道路運送車両の保安基準の細目を定める告示などの改正が行われた。これにより、2016年7月15日以降に型式を取得する車あるいは、電気自動車の改造に関しては、2次電池安全性の試験が義務付けられることになり、自動車メーカーや電池メーカーの間では、この安全性評価試験を一括して委託できる体制が日本国内で整うことが強く望まれている。

一方、電力、一般産業、住宅など自動車以外の分野においても、高性能の定置型2次電池の実用化に向けて、安全性を的確かつ迅速に評価することでより一層開発力を高め、また、最終的には実機レベルでの安全性を確認するための評価サービスの提供が望まれている。

今回、このような社会的ニーズに応えるために、2次電池に用いられる材料の分析から、電池の設計・製造、高性能計算機による性能シミュレーション、中・小型電池の限界性能、安全性評価など、2次電池分野の評価、分析技術で幅広い専門サービスメニューを持つコベルコ科研と自動車全般の評価技術と設備を保有するJARIが相互協力関係を結ぶに至ったという。これにより、11月から国内では初めて協定規則R100.02 Part2で要求されるすべての評価試験項目を、設備を相互補完することで一括して受託できるようにした。さらに、試験時に排出されるガスの処理設備も完備しており、安全でかつ環境に配慮した試験を実施することができる。また、コベルコ科研は関西、JARIは関東を本拠地としており、この両社の協力により、供試電池のハンドリング、技術打ち合わせ、立ち合い試験などでも地理的利便性が向上したとしている。

コベルコ科研とJARIは、この協力スキームを広く国内外のメーカーに活用してもらうことで、2次電池産業・自動車産業の発展に貢献していくとコメントしている。