俳優の菅原文太さんが11月28日午前3時、転移性肝がんによる肝不全のため、都内の病院で亡くなったことが1日、分かった。81歳だった。11月30日には、福岡・太宰府天満宮祖霊殿で家族葬が執り行われた。

菅原さんは、1933年8月16日生まれ。宮城県仙台市出身。1954年に劇団四季の1期生として入団。ファッションモデルを経て、1958年の『白線秘密地帯』で本格映画デビュー。『仁義なき戦い』シリーズ(1973年~)をはじめ、『トラック野郎』シリーズ(1975年~)などで人気を博した。また、『千と千尋の神隠し』(2001年)、『ゲド戦記』(2006年)、『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)などアニメの声優も担当。2011年3月11日に発生した東日本大震災に心を痛め、そのことを理由に山田洋次監督作の『東京家族』を降板。2012年には俳優引退を表明していた。

妻の文子さんは1日、東映を通じて以下のコメントを発表した。「七年前に膀胱がんを発症して以来、以前の人生とは違う学びの時間を持ち『朝に道を開かば、夕に死すとも可なり』の心境で日々を過ごしてきたと察しております。『落花は枝に還らず』と申しますが、小さな種を蒔いて去りました。一つは、先進諸国に比べて格段に生産量の少ない無農薬有機農業を広めること。もう一粒の種は、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げることでした。すでに祖霊の一人となった今も、生者とともにあって、これらを願い続けているだろうと思います。恩義ある方々に、何の別れも告げずに旅立ちましたことを、ここにお詫び申し上げます。」