JR九州は27日、架線式蓄電池電車の導入について発表した。2016年秋以降、筑豊本線若松~折尾間(若松線)に順次導入される。

写真は大容量蓄電池を搭載した817系改造試作車(JR九州提供)

同社は非電化区間を走る気動車に替わる次世代車両として、蓄電池で駆動する車両の開発に取り組んでおり、これまで大容量蓄電池を搭載した817系改造試作車による走行試験も実施してきた。気動車から架線式蓄電池電車への置換えにより、二酸化炭素などの排出や騒音を低減でき、ブレーキ時に発生する回生エネルギーを蓄電池に充電することで、エネルギーの有効活用も可能だという。

今回、同社初となる架線式蓄電池電車の営業線へ導入が決定し、実用化に向けた量産車両が製作されることに。交流電化区間で充電する蓄電池電車は国内初となる。

筑豊本線に導入される架線式蓄電池電車はリチウムイオン電池(高電圧・大容量蓄電池)を搭載し、車両重量は1編成(2両)あたり70トン、設計最高速度は時速120km。交流電化区間(福北ゆたか線)では従来の電車と同様、架線からの電気で走るが、走行・停車中に架線からの交流電力を変換し、蓄電池への充電を行う。非電化区間(若松線)ではパンタグラフを下げ、蓄電池の電力で走行する。

JR九州は架線式蓄電池電車を筑豊本線若松~折尾間(若松線)へ導入するにあたり、「車両に搭載する蓄電池容量に適した線区長であり、かつ交流電化区間との直通運転という運用上のメリットがある」「世界の環境首都をめざす北九州市内にある路線であり、環境にやさしい架線式蓄電池電車を初めて導入する線区としてふさわしい」と選定理由を説明。2016年秋に1編成2両を先行導入、2017年春に6編成12両を追加導入予定としている。