ユリイカ12月号。表紙と特集扉のイラストは志村貴子によるもの。

本日11月27日に発売されたユリイカ12月号(青土社)では、「百合文化の現在」と題された特集が組まれている。

特集には女性同士の恋愛を扱ったコンテンツをテーマに、さまざまな切り口からの論考やエッセイを掲載。マンガ分野からは「彼女とカメラと彼女の季節」の月子や「あやめ14」の天野しゅにんたらがインタビューに応えているほか、「宝石色の恋」の西UKOがイラストエッセイを寄せている。そのほか巻末には関連作品や人物を紹介したガイドも収録されているので、初心者は鑑賞の指針としてみては。

ユリイカ12月号特集「百合文化の現在」目次

【少女小説の精神】
『マリア様がみてる』のまなざし “姉妹”たちの息づく場所 / 今野緒雪 聞き手・構成=青柳美帆子
半壊のシンボル 吉屋信子と百合的欲望の共同体 / 川崎賢子
「突然の百合」という視座 多和田葉子、吉屋信子、宮本百合子をとおして / 木村朗子
吉屋信子から氷室冴子へ 少女小説と「誇り」の系譜 / 嵯峨景子
解放区としての百合 / 中里一

【“現実”との接線】
女たちの関係性を表象すること レズビアンへのまなざしをめぐるノート / 堀江有里
百合レズ論争戦絵巻 / 牧村朝子

【彼女たちの友愛、あるいは恋模様】
女子と/の恋愛 百合という観測問題 / 天野しゅにんた 聞き手・構成=青柳美帆子
「百合」の来し方 「女どうしの愛」をマンガはどう描いてきたか? / 藤本由香里
女の子たちの突破口 / 川口晴美
「百合」の栽培に向いた土壌、日本 / 高嶋リカ
read between the lines / 西UKO
同じ物語なのになぜレズビアンが疎外感を味わうのか 『LOVE MY LIFE』映画版の謎を分析する/ 溝口彰子

【「百合」に交わるもの】
それが恋なら必然 『彼女とカメラと彼女の季節』の写した彼女と彼女と彼について / 月子 聞き手=玉木サナ
百合 境界なきジャンル / エリカ・フリードマン 訳=椎名ゆかり
倉田嘘『百合男子』に表わされた百合ファンダムの姿についての一考察 / ジェームズ・ウェルカー
いろんな百合が咲けばいい、わたしは血の色の百合が見たい / 玉木サナ
マンガの世界を構成する塵のような何か。 百合はジャンル境界を描きかえるのか / 日高利泰

【“少女”(たち)の行方】
百合を探してどこまでも / 綾奈ゆにこ 聞き手・構成=キツカワトモ
戦闘美少女と叫び、そして百合 / 石田美紀
内なる少女を救い出すこと 『シムーン』の孤独と連帯 / 上田麻由子
あなたの痛みは私そのもの 共闘する〈魔法〉少女たちのやすらぎ / 須川亜紀子

【NO YURI, NO LIFE.】
百合文化に分け入るために 作品・人物・メディアガイド / 青柳美帆子・玉木サナ・長門裕介