イーソルとTOPPERSプロジェクトは11月19日、イーソルがAUTOSAR仕様をベースとする次世代車載システム向けリアルタイムOS(RTOS)「TOPPERS/ATK2」を対象としたプロフェッショナルサービスの提供を開始したと発表した。

近年、自動車のECU(電子制御ユニット)調達のグローバル化や機能安全対応、高機能化・複雑化が進み、国内でもAUTOSARの導入が急速に加速している。一方で、AUTOSAR仕様は量が膨大なうえに、曖昧さや不整合さが残っているため、信頼性の高いAUTOSAR OSの開発には、OSの深い知見やノウハウと、全てのAUTOSAR製品開発を1社でまかなえるだけの十分な企業体力が必要となる。しかし、こうした条件が整う国内ベンダの数が限られているため、AUTOSARソフトウェアプラットフォームの開発は欧州メーカーの主導で進められている。

「TOPPERS/ATK2」はこうした現状を踏まえ、名古屋大学組込みシステム研究センター(NCES)が中心となり、複数の国内企業と共同で開発したAUTOSAR OS仕様ベースのRTOSで、国内企業の車載制御システムのニーズに合致した、高品質なRTOSを目指して開発が進められている。「TOPPERS/ATK2」は、2013年よりTOPPERSプロジェクトから一般公開されており、すでに国内の大手自動車メーカーで採用された実績がある。また、NCESは、「TOPPERS/ATK2」を含む車載制御システム向けソフトウェアプラットフォームへの機能追加や機能安全対応による高品質化を目指し、「車載制御システム向け高品質プラットフォームに関するコンソーシアム型共同研究(APコンソーシアム)」を主宰している。イーソルは、このAPコンソーシアムのメンバーとして、「TOPPERS/ATK2」の機能安全規格対応や、時間保護機能の検討・開発の研究に参加している。APコンソーシアムには、大手自動車メーカーや車載機器メーカーをはじめ、国内企業25社が参加している。

今回、イーソルが提供を開始した「TOPPERS/ATK2」向けプロフェッショナルサービスは、「TOPPERS/ATK2」の技術サポートや、カスタマイズやインテグレーションなどを行う受託開発サービス、AUTOSAR導入支援のコンサルティングサービスが含まれている。また、イーソルはJASPARの機能安全ワーキンググループにおける活動や、自社製品の自動車向け機能安全規格ISO26262第三者認証取得に向けた各種取り組みで蓄積した知見をベースとする、機能安全適合支援サービスを提供している。このため、AUTOSARの導入支援と合わせて、自動車や車載機器システム開発における機能安全適合も支援するとしている。

なお、今後はイーソルが開発・販売するAUTOSARメソドロジ支援ツール「eSOL ECUSAR」を「TOPPERS/ATK2」に対応させることも予定している。「eSOL ECUSAR」は、自動車向け機能安全規格ISO26262の第三者認証機関による認証を2016年第1四半期に取得する予定。