ルネサス、"動くモノ"開発プロジェクトを開始 - MFT 2014に試作品を出展

ルネサス エレクトロニクスは11月19日、新しいモノ作りビジネスの創出を支援するプロジェクト「ルネサス"動くモノ"開発プロジェクト」を、同社インキュベーションセンターにて立ち上げたと発表した。

同社のインキュベーションセンターは、2013年12月に新しい事業にチャレンジしていくことを目的に設立された組織で、今回、同プロジェクトの第一弾として「モータモジュール」の開発が行われた。

世界的にMakersの動きが盛り上がりを見せており、クラウドファインディングによる個人やベンチャー企業によるモノ作りに注目が集まるようになってきたが、その多くが駆動回路がない製品であり、物理的な動きがあるものの製品化はそれほど多くなかった。その背景として、駆動系の重要コンポーネントであるモータを活用するためにはモータごとに異なる制御手法や、モータの駆動効率向上のための制御技術、プログラミング経験、デジタル信号処理、モータの動作原理モデル、駆動側の電子回路、センサの特性などさまざまな知識が必要であり、簡単に扱えるものではない、という問題があった。

Makersムーブメントに伴い、ハードウェアの開発や資金調達、そして製造という面で変化が生じてきたが、実際に製造されるものの多くはモータなどを駆使したものよりもデジタル技術を活用した静的なモノが多かった。今回のルネサスのプロジェクトはさらにモータやサーボを活用した分野への扉をMakersに開くものになるとする

一方、ルネサスは長年、事業としてモータ制御を取り扱っており、今回のプロジェクトにて、そうした知見をパッケージ化し、コマンドを送るだけで使えるソリューションの実現を目指して、「買ってきて5分でモータコントロール」をコンセプトに開発が行われたという。

モータを活用しようと思った場合の課題と、それに対する同プロジェクトを活用した場合の答え

具体的には、モータモジュールに組み込んだマイコン(RL78/G13)に、各モータに特有の制御プログラムを内蔵し、それに対して簡単なコマンド(1行から可能)を入力するだけでモータの速度や角度を思った通りにできるようにしたほか、そうした制御を簡単にできるようなAPIも開発した。また、従来、モータごとに異なる通信インタフェースを統一化することで、モータの種類を関係なく、自由に使いたいモータを選ぶことを可能とした。

当初提供されるモータモジュールは左側の3つ。DCモータモジュール(20W)、ACモータモジュール(同期モーター、100W)、ACモータモジュール(誘導モータ、~1kW)だが、今後のニーズを見極めそれ以外のモータに対応したモジュールやセンサモジュールの開発も行っていく予定。MFT 2014での来場者の反応も参考にするという

さらに、各モータモジュールとつながり実際の制御を行うRL78/G13搭載のインタフェースボードはArduinoシールド互換で提供される。

同社では「こうしたモータモジュールはこれまでも存在した。しかし、同モジュールはハードウェアの使い勝手の高さや使えるモータの幅、入手容易性など、トータルで高いものを提供していこうという意欲的なものとなっている」とし、こうしたモジュールなどのハードウェア部分に加え、コミュニティでのAPIの公開やサービスなどの提供も行っていき、多くの人に活用してもらうことを目指すとする。また、「色々なパートナーと連携して進めていきたいと思っているし、設計の環境も変えていきたい」としており、まずは11月23日、24日に東京ビッグサイトにて開催される「Maker Faire Tokyo 2014(MFT 2014)」にて先行展示を行い、多くのMakerから意見をもらいたいとする。

右がArduinoシールドとモータモジュール。右から2番目がモータモジュール。モータと接続する筐体は3Dプリンタで出力した。こうしたフレームのデータもSTL形式で提供されるという。右から3番目がArduinoシールド互換のコントローラボード。電流監視機能なども搭載しているほか、将来的にはモジュールの自動認識機能なども搭載される予定だという。4番目が自動走行ロボットの試作機。こちらはArduino側とはI2C直接続をしているプロトタイプともいえるもの(モータモジュールの方はSPI方式で接続)で、今後はモータモジュールの写真の側のモデルが中心となっていく予定とのこと。ちなみにモータモジュールとの接続数の上限は100個以上まで理論上では対応可能とのことで、パラレル接続で接続数を増やすことも可能だという

なお、気になるのは製品化のスケジュールだが、2014年度中にArduino向けAPIを含めた情報の公開を行うとしているほか、複数の先行パートナーに同モジュールを活用した作品を制作してもらい、実際の感触を確かめたのち、2015年度には販売にこぎつけたいとしている。ちなみに先行パートナーの募集はこれからとのことで、「気になった人はMFT 2014で声をかけてもらえると、うれしい」とのことであった。また、価格については未定としているが、10W級モータを動かす程度のソリューションとして考えた場合で数千円程度に抑えられれば、とのことであった。

ルネサスが提供する「がじぇっとるねさす(がじぇるね)」と今回のプロジェクトの関係性。がじぇるねはワンボードマイコンであり、"動かないモノ"という位置づけ。今回のプロジェクトはさらにそこにモータを接続し、"動くモノ"を簡単に実現させようというものとなっている



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