Zimbra Japanは11月19日、米オスターマンリサーチ社(Osterman Research)が発行したビジネスメールシステムのTCOに関するホワイトペーパー「ビジネスメールのTCOについて-TCO of Enterprise Email」の概要を発表した。

ホワイトペーパー(日本語版)は、Zimbra JapanのWebサイトから無料でダウンロード可能。

このホワイトペーパーでは、オンプレミス向け主要メールシステム4製品と、クラウドメールの3サービスについて、オスターマンリサーチ社が開発したコストモデルによりTCOを比較し、今後メールシステムのリプレイスを行う際に検討すべき事柄をまとめている。

それによると、オンプレミスのメールシステムでは、堅牢なハードウエア、クラスタ化、障害復旧、ビジネス継続性システムに対して相当の出費がある場合でも、総合的な複数年のTCOにはほとんど影響がなく、企業がインフラ寿命を4~5 年に定めた場合、TCOに与える影響はさらに縮小するという。

さまざまなEメールソリューションの1カ月あたり、1ユーザーあたりのTCO

TCOに与える影響として最も大きな要素はIT労務量で、例えば、あるオンプレミス向けメールシステムの管理にIT要員が費やす時間が25%増加した場合、500名規模では1ユーザーあたりのTCOは約10%、2,000名では約8%増加するという結果が得られたという。

また、地域により労賃にも差があるので、データセンターの所在地はTCOの観点からも検討するべきポイントとなり、労賃の低い地域にデータセンターを置くことで、TCOを改善できるとしている。

さまざまなオンプレミスシステムのTCO全体に労務費が占める割合O

オンプレミスとクラウドにおけるユーザー数とTCOの関係では、オンプレミスとクラウドの両方において、いずれのメールシステムもユーザー数の増加に伴い1ユーザーあたりのTCOが低くなり、IT管理者が存在しない少ないユーザー数の組織や反対に支店や支社を多数抱える非常に大きな組織の場合はIT管理業務の負担が大きくなるため、クラウドが適切なソリューションと考えられるという。

将来のビジネスメールのあり方については、2014年3月に実施した調査では、メールユーザーの52%が「過去1年でメールの利用頻度が増えた」と回答し、2011年の42%から10%増加。この結果からメールがソーシャル等の新たなコミュニケーションに取って代わるのではなく、様々なシステムやアプリケーションとメールが統合することで、ユーザーはメールと他のシステム間を行き来せずに効率的に業務を遂行できる。将来的にメールはあらゆる情報の「取引所」のような役割になると考えられるとしている。

そして、このことから、ユーザーエクスペリエンスとTCOの両観点から求められるのは、他のシステムとの統合を容易に実現できるメカニズムを持ち備えたメールシステムであるとしている。