携帯電話が手放せない時代だけど……

中国は日本同様に携帯電話文化が発達し、人々は電車でもバスでも道路でもスマートフォンを握りしめ、ニュースを見たり、ゲームをしたり、友人とのチャットを楽しんでいる。そんな中、中国版ツイッターの「ウェイボー」で話題になっているのが、「僕が携帯をオフにした一週間」という文章だ。

昔の自分に戻れた気がする

これは、ある大学生のインターネットユーザーが失恋をきっかけに1週間、携帯を机の引き出しにしまい込み、携帯を持ち歩かずに生活した時の記録をツイートしたもの。携帯がないため時間が分からず授業に遅刻したり、名前が分からない同級生からあいさつされても下を向いてチャットに忙しいふりができず、仕方なくあいさつすることになったりと、いろいろな不自由を実感したよう。

だが、携帯のマップがないためいろんな人に道を教えてもらって、やっとたどりつけたまんじゅう屋のまんじゅうのおいしさに感動して泣いたり、今まで音楽を聴きながら歩いていた道を音楽なしで通ったら新しい発見があったりと、だんだんモバイル生活に毒されていた自分に気づいていく。

文章では、「携帯は孤独を紛らわすものかもしれないが、孤独を避けようとするあまり、より孤独になっていた自分がいた。そして、自分が誰だかどんどん分からなくなっていた」とつづられている。

「携帯がなかった中学1年生の頃の自分は学生証しかなかったけど、自分が誰だか分かっていて、そして孤独ではなかった。携帯をオフにした1週間は、そんな自分に戻れた気がする」と自分を見直す機会となったとするこの文章に対して、多くの中国のネットユーザーたちが「感動した」「泣けた」など、賛辞コメントを多数寄せている。

「一緒に1週間、携帯をオフにしてみようよ」

ネットユーザーたちは、「人は皆孤独である。ただ、いろんな理由を探して自分は孤独ではないことを証明することが習慣化しているだけ」などと、携帯電話漬けになっている自分を反省し、中には「一緒に1週間、携帯をオフにしてみようよ」と呼びかけるコメントまでもある。

また、「彼氏とけんかして、数日携帯の電源を切っていたことがある。確かに違う気持ちになれるものよ」「自分も携帯が壊れてから、1カ月携帯を使っていなかったことがある。結構爽快だった」など、実は携帯なし生活をしたことがあるというコメントも少なくなかった。 

さらに、日常の寂しさをカミングアウトする人も。「数カ月前に電話番号を変えたけど、新しい番号を知っているのは親と数人の友達だけ。それでも生活はできるし、そんなもんなんでしょ」「前は、電話できないと友達との連絡に困るなと思ったけど、今はネットショッピングで買ったものを届けてくれる宅急便のお兄さんからの電話しかない」など、携帯電話があっても寂しい生活を送っているというコメントもちらほら。

ただ、寂しくても「どうせ誰からも電話がないとは思うけど、それでも携帯をオフにする勇気はない」という人も。「1週間携帯オフにしたら、確実に友達がいなくなる」というコメントもあり、やはり携帯なしの生活は考えられない中国ネットユーザーは多いようである。

※本文と写真は関係ありません