【レポート】

iPhone/iPad用Officeで加速する身近なクラウドサービス化 - 阿久津良和のWindows Weekly Report

 

Satya Nadella氏がCEO(最高経営責任者)の席に就いてから、Microsoftは「モバイルファースト、クラウドファースト」というキーワードを掲げて、パッケージやオンプレミス製品からクラウド製品への移行を推し進めている。Nadella氏がMicrosoft Cloud and Enterprise GroupのEVP(執行副社長)出身というのも、同社の戦略に大きな影響を与えているのだろう。

「Office Premium」「Office 365 Solo」発表会に登壇したSatya Nadella氏

iPhone/iPad用Officeを無料で使用できる機能は限定的

そして既報のとおり、11月6日(米国時間)に新たなサプライズとして、iPhone/iPad用の「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」の無料提供を開始した。プレスリリースのタイトルは「Microsoft brings Office to everyone, everywhere」、意訳すると「Microsoftは、いつでもどこでも誰にでもOfficeを提供する」という具合だろうか。

11月12日時点のiPad用無料アプリランキング。WordやExcelがベスト3にランクインしている。ちなみにiPhone用無料アプリランキングではベスト5に含まれていた

ここで少し過去を振り返ってみよう。2013年10月には前CEOであるSteve Ballmer氏がiPad用Officeをリリース予定にあることを明らかにし、2014年3月下旬に「Microsoft Word for iPad」や「Office Mobile for iPhone」など各Office製品をリリースした。ただ、あくまでも無料使用範囲はビューアーにとどまり、編集できるのはOffice 365サブスクリプションユーザーに限定している。だが、今回発表されたバージョンは基本的な編集機能も可能だ。

このiPhone/iPad用Office製品を語るうえで、最初に述べなければならないのが「完全に無料ではない」ということだ。実際にiPhone/iPad用Office製品を起動してみると、Microsoftアカウントによるサインイン後に「プレミアム機能」使用の有無をうながされる。

Microsoftアカウントでサインインすると、無料使用かプレミアムで使用するかの選択をうながされる

ここで多くのユーザーは「プレミアム?」と疑問に思うことだろう。iPhone/iPad用Officeでは一部の機能はロックされており、アプリ内課金「Office 365 Solo(1,200円/月)」によって、下図で示したような機能が使用可能になる。筆者はExcel以外のアプリケーションは使用頻度が低いため、正しい評価を下せないが、Excelにおけるグラフ追加・編集がプレミアム機能に属していることに不便を感じて、必要な当月のみ課金してしまうのではないだろうか。このようなパターン課金ユーザーが増える可能性は大きい。つまり、今回リリースしたiPhone/iPad用Officeは「Office 365への呼び水」のような存在と言えるのだ。

iPhone/iPad用Officeのアプリ内購入額は1,200円/月。「1TBのOneNote~」は「OneDrive」の間違いだろうか?

アプリ内購入でプレミアム機能をロック解除(購入)すると使用可能になる機能

iPhone/iPad用Officeは「Office 365 Solo」と同等の存在か

ここで思い返してほしいのが「Office 365 Solo」の存在だ。「Office Premium」はPCプレインストール製品であり、ユーザーが新規購入するのはOffice 365 Soloのみである。こちらは1,274円/月(12,744円/年)の料金を支払うと、2台のPC/Mac+2台のタブレット/スマートフォンのライセンスに加えて、1TBのオンラインストレージ、60分間/月のSkype通話、アンサーデスクによるサポートが付随する仕組みだ。

ライセンスフィーの価格設定などを踏まえると、iPhone/iPad用Officeのプレミアム機能とOffice 365 Soloは同等の存在と言える。さらに月額課金というハードルの低さは、従来のデスクトップアプリ版である「新しいOffice(Office 2013)」から移行する際、有効な選択肢となるのではないだろうか。さらに米国で先行発表したOneDriveの容量無制限を日本国内製品においても適用する。

11月12日に行われたWDLC年末商戦向けパソコン販売促進施策記者発表会で、日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループオフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏は、Webやプレミアム機能の説明が1TBのままであることに対して、「時期は未定だが、早々に準備を終えて発表する」と、OneDrive容量無制限化を近々実施すると説明した。

記者会見でOneDrive容量無制限について回答した、日本マイクロソフトの宗像氏(一番右)

iPhone/iPad版OfficeはDropboxもサポート。ちなみに背景にはOneDrive上のExcelワークシートファイルが並んでいる

OneDriveやDropboxの他に、SharePoint Server 2013などで使用するオンラインストレージ「OneDrive for Business」をサポートしている

Microsoftは「Office for Android Tablet」を2015年初頭にリリースすること、そして、新たなタッチ操作に最適化したWindows 10向けOfficeの存在も明らかにしている。現在のMicrosoftが、Microsoft AzureによるクラウドプラットホームとOfficeのクラウド化で、AppleやGoogleといったライバル企業との接戦を勝ち抜き、"10年の競争を有利"に進めようとしているのは明白だ。

現在開発中の「Office for Android Tablet」。スクリーンショットを見る限り、iPad版と同じような操作性を実現しているようだ

こちらがタッチ操作の最適化を推し進めたWindows 10用Office(のPowerPoint)。具体的な機能差は明らかにしていない

日本国内のOffice 365は法人導入が基本的に前提となるが、コンシューマー向けは、プレインストール版のOffice Premium、単独購入するOffice 365 Solo、そして今回のiPhone/iPad用Officeと足並みがそろったことなる。我々コンシューマーもパッケージ/オンプレミス製品にとどまる時期は終わったようだ。

阿久津良和(Cactus)

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