医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品を手掛けるMSDはこのほど、「不眠に関する意識と実態調査」の結果を発表した。同調査は8月12日~19日、20歳~79歳の男女7,827名を対象としてインターネット上で実施した。

不眠症の疑いがない人は4割未満

まず、アンケート回答者に、世界共通の不眠症判定法「アテネ不眠尺度(以下AIS)」を用いて不眠症の疑いの有無を確認。不眠症状の度合い別に、不眠症で通院している「不眠症治療層」、不眠症の疑いがあると判定された「不眠症の疑いあり層」、不眠症の疑いが少しあると判定された「不眠症の疑い少しあり層」、不眠症の疑いのない「不眠症の疑いなし層」の4層に分け、その傾向を分析した。

約4割に「不眠症の疑い」、約2割が「不眠症の疑いが少しある」

「不眠症」とは、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、ぐっすり眠った満足感がない、必要以上に早く目が覚めるなどにより、苦痛を感じたり生活に影響をきたすようになる睡眠障害の一種。「AIS」を用い、アンケート回答者について不眠症の疑いの有無を確認した結果、「不眠症の疑いなし」は38.9%で、「不眠症の疑いあり」は38.1%と全体の約4割を占め、「不眠症の疑い少しあり」は18.4%だった。

睡眠時間は平日6.3時間、休日7.0時間。世界的にも短め

「平日の睡眠時間」は平均6.3時間、休日で平均7.0時間となり、各層間にも、平日と休日にも大きな差はなかった。

不眠症の傾向が強い人は昼寝時間が長い

ただし、十分な睡眠が取れず仮眠(昼寝)をするときの時間は、「不眠症の疑いなし層」が34.9分と4層の中でいちばん短く、平均30分以上昼寝する人の割合も29.8%といちばん少なかった。不眠症状が強まるほど昼寝時間も長く、平均30分以上昼寝する人の割合も高くなった。

不眠症の疑いあり層は、日中のパフォーマンスが3割以上ダウン

「不眠症の疑いなし」層は自己評価が高い

十分な睡眠が取れて思いどおりに活動できることを100点とし、現在の日中のパフォーマンスを自己採点してもらった結果、不眠症の疑いなし層は自己採点87.3点だったのに対し、不眠症の疑い少しあり層は77.5点、疑いあり層は64.5点、不眠症治療層は62.0点となった。

不眠症の疑いあり層の約6割は「不眠症の自覚なし」

AISで不眠症の「疑いがある」と判定された「不眠症の疑いあり層」(2,979人)のうち、自分自身が不眠症と「思う」と答えたのは35.2%で、不眠症の自覚がない人が多かった。また、自身が不眠症ではないかと思う人、つまり不眠症の自覚症状がある人(1,050人)に、医師に相談したかを聞いたところ、約7割が「医師に相談したことはない」と答えた。

不眠症の疑いあり層は「就寝前に不安感、緊張感がある」人が多い

「ストレス」が不眠症に大きく影響か

「自分の睡眠の質を低下させている原因」を聞くと、不眠症の重症度が高いほど、該当項目が多い傾向が見られた。

4層とも最も高かったのは「ストレス」だが、不眠症の疑いなし層が19.5%だったのに対し、不眠症の疑い少しあり層は38.1%、疑いあり層は58.5%、治療層は65.7%と、不眠症状が強まるにつれストレスがある人の割合が高くなった。

「就寝時に感じる感覚」でも、不眠症状が強まるほど就寝時に負の感情を抱いている割合が高くなり、特に「不安感」「憂鬱な気持ち」「緊張感」はいずれも、不眠症の疑いなし層に比べ約4倍も高くなった。

また「現在抱えている悩みやストレス」についても同様の傾向が見られた。

不眠症の疑いあり層の約9割は、就寝直前に「テレビ、スマホ操作、寝酒」

不眠症治療層以外の3層に、テレビを見る、PC・タブレット・スマホを操作する(ゲームは除く)、飲酒、考え事をする、ゲームをする、喫煙、カフェイン摂取などの「寝る前に脳の覚醒を引き起こすと言われる行動」を実施しているかどうかを聞くと、不眠症の疑いあり層の9割近く(88.8%)が、何らかの行動を行っていた。

就寝前に脳の覚醒を引き起こす行動をしている人が9割

具体的な内容は、不眠症の疑いの有無に関わらず「テレビを見る」が1位だったが、3層の中で不眠症の疑いあり層がすべての項目で高く、「PC・タブレット・スマホを操作する」や「考え事をする」では、特に高くなった。不眠症疑いあり層について性・年代別でみると、「PC・タブレット・スマホ」は20代・30代男女、「テレビ」は70代男女、「飲酒」は40代・50代男性で割合が高かった。