KDDIの田中孝司社長が「脱法的な行為」とまで指摘するNTTドコモの新サービス「ドコモ光パック」。光回線と携帯電話回線の契約で割引を行う同施策について、ソフトバンクの孫正義代表はどう感じているのか、4日開催した2015年3月期第2四半期決算発表会で同氏が所感を述べた。

ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏

「ドコモ光パック」は、NTT東西の光回線と携帯電話をセットにして割り引きを行う施策。ドコモが先日発表した新サービスだ。同サービスについて、コメントを求められた孫社長は「光ファイバーの卸売りがなされることについては、前向きに対応していきたい。ただNTT東西さんは、光ファイバーで7割以上のシェアを持っている。もともと国が作った会社で、いまだに国が筆頭株主になっている会社。かつドコモさんは、日本の経済事業の中で、圧倒的最大のお客さんを有している。そういう会社が優位的な立場を利用して、アンフェアな形でいわゆる一般の民業の競争環境に入り、競争を妨げるのはよくない。それは日本の法律でも定められている。KDDIさんも強く反発しておられますね。したがって、われわれとしては脱法行為が行われていないか注意深く見守り、皆で監視しながら管理していくべきであろうと思っている」と回答した。

ただ、ソフトバンクモバイルでも10月31日、NTT東日本・NTT西日本が提供する光回線サービスとスマートフォンをセットで契約することで、ソフトバンクのスマートフォンなどの通信料から一定額を割り引くセット割引を提供すると発表している。これについて孫社長は「光ファイバーと携帯電話をバンドルしてセット販売すると、結果的にNTTさんに利することになる。やや悲しい気はしますが、お客さんにサービスを提供するのに必要とあらば、現実をみながら対応します」と説明した。ソフトバンクとしては苦しい施策だったようだ。

孫社長は、次のようにも語った。「ADSLのメタル回線では、1回線ごとに回線の卸売りを受けて、他の事業者もフェアに使えるようになっている。ところが光ファイバーに関しては、なぜか8回線分まとめて買うしかない。皆さん、新幹線のチケットを買うのに8枚まとめてしか買えなかったら、どうしますか」。ここで、新幹線を利用した旅行のパックツアーに例えると「JRが経営している緑の窓口(NTTドコモを想定)なら、新幹線のチケットが1枚ずつ買える。でも、旅行代理店(ソフトバンクやKDDIなどを想定)では、8枚つづりでしか買えない。これで旅行代理店の競争が、公平に成り立つと思いますか」。最後に、光ファイバーの卸売りについて「いまだに、強い疑問を持っている。継続して議論してほしい部分だと思っています」と念を押すように発言した。

(記事提供: AndroWire編集部)