キーサイト・テクノロジーは10月30日、シグナル・アナライザならびに信号発生器の最上位機種「N9040B UXA シグナル・アナライザ」ならびに「N5193A UXG アジャイル信号発生器」を発表した。

いずれも無線を用いたセンサ技術の高度化に対応することを目的に開発された製品で、N5193Aは従来の最上位機であったPSGシリーズと同程度の位相雑音を実現しつつ、1000倍程度早い信号スイッチング時間を実現。これにより、既存の信号源では機能不足であった分野がカバーできるようになったという。

「N5193A UXG アジャイル信号発生器」の外観

具体的には14ビットのDirect Digital Synthesizer(DDS) D/Aコンバータ(DAC)を新たに開発。これにより高速制御を実現し、波形のリニアリティをより綺麗にすることで、位相雑音を抑えることを可能としたほか、スプリアスの低減も実現しており、-136dBc/Hzの位相雑音(中心1GHz、10kHz離調時)、-80dBcのスプリアスレベル(10GHz発振時)を実現できるため、従来のDDS発振器ならびにPLLベースの信号発生器と比べても純度の高い信号を生成することを可能とした。

さらにnanoFETと呼ぶMMICも新たに開発。DACと組み合わせることで50n以下の周波数、振幅、位相の切り替えを実現しており、これにより立ち上がり/立下り時間は1ns、オン/オフ比が80dBの場合、5ns幅の高速パルスの出力が可能になるという。

キーサイトのマイクロ波信号発生器ラインアップとN5193A UXGの概要

これらの技術により、信号源を複数台並べても完全にコヒーレントな信号源を構築することが可能になったほか、瞬間ごとに別々の電波をきれいに出し続けることが可能になったとのことで、レーダーのドップラーシフトの模擬や電子スピンのマイクロ信号源など、これまで信号源が入れなかった分野でも活用が可能になったという。

性能の向上により、これまで使えなかった分野にも信号発生器を適用することが可能になった

一方のN9040B UXAも同社のXシリーズ・シグナル・アナライザの最上位版の位置付けで、従来のPXAシリーズに比べ位相雑音特性を向上させつつ、510MHzの広帯域にわたる高いダイナミックレンジのリアルタイム解析能力を実現している。

Xシリーズ・シグナル・アナライザの最上位に位置づけられる「N9040B UXA」と同製品の概要

具体的にはN5193Aで開発したDACをよりスプリアスが少ない方向に改良したDACと、新たに開発した14ビット、2.4GspsのA/Dコンバータ(ADC)を組み合わせることで、全帯域で80dB(typ)のSFDRを510MHzの帯域で実現することが可能となった。

また、14.1型のマルチタッチ対応ディスプレイを搭載。フロントのハードキーを減らし、ほとんどの操作をタッチスクリーンで実現できるようにしており、所望の機能を行うまでには基本的に2タッチまでで済むようにGUIの設計がなされているほか、波形はタブで表示されており、タブをタッチすることで波形の切り替えが可能になっている。

ハードキーを減らし、ほとんどの操作をタッチスクリーン上でできるようにしたGUIが採用されている

なお価格はN5193A 20GHz周波数オプション付きで962万2618円(税別)から、N5193A 40GHz周波数オプション付き で1427万4568円(同)から、N9040Bが884万9175円(同)からとなっており、いずれも出荷は2015年1月からを予定している。

「N9040B UXA」の実機の外観。複数のタブを1画面上に表示することも可能