第27回東京国際映画祭が31日に閉幕し、東京・六本木のTOHO シネマズ 六本木ヒルズで行われたクロージングセレモニーで、コンペティション部門をはじめとする各賞が発表された。最高賞である東京グランプリは『神様なんかくそくらえ』に決まり、宮沢りえ主演『紙の月』は、観客賞と最優秀女優賞を獲得した。

最高賞・東京グランプリに輝いた『神様なんかくそくらえ』のジョシュア・サフディ監督、ベニー・サフディ監督、アリエル・ホームズ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(左から)

セレモニーではまず、フェスティバル・ミューズの中谷美紀があいさつ。「豊かな9日間でした。映画漬けの日々を送ることができて、なんて幸せな日々だったんだろうと思っています」と振り返った。続いて、新設された"SAMURAI(サムライ)賞"受賞者の北野武監督とティム・バートン監督が登場し、トロフィーが贈呈された。

コンペティション部門では、最高賞の東京グランプリにアメリカ・フランス合作の『神様なんかくそくらえ』が決定。本作は、少女の青年に対する絶望的な愛の物語を軸に、ジャンキーとして生きる若者たちを徹底したリアリズムで描いた作品で、主演女優アリエル・ホームズの実体験を描いた。サフディ兄弟は、最優秀監督賞も受賞。「2つも受賞してうれしく思います」と喜びを語った。

日本代表作品の宮沢りえ主演『紙の月』も、観客賞と主演女優賞の2冠を達成。吉田大八監督は「『紙の月』を好きだとおっしゃってくださった方が一番多いという重みを感じます」と語り、宮沢は「おみくじで大吉をひいた時に、『ヤッター!』と思う気持ちの中に自分を引き締めなければという気持ちが湧くのと似ています」と喜びを伝えた。

すべての賞を発表した後、コンペティション国際審査委員長のジェームズ・ガン監督が「審査員一同、世界を巡らせてもらえた日々でした」と9日間を振り返り、「今年の作品に流れるテーマは、愛する、そして、愛されるという必要性」だとコメント。「映画作りの楽しさの中で、表現力の相違点と類似点を体験できるのが、東京国際映画祭の魅力だと思います」と語った。

第27回東京国際映画祭 受賞作品・受賞者
【コンペティション部門】
東京グランプリ:『神様なんかくそくらえ』
審査員特別賞:『ザ・レッスン/授業の代償』
最優秀監督賞:ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ(『神様なんかくそくらえ』)
最優秀女優賞:宮沢りえ(『紙の月』)
最優秀男優賞:ロベルト・ヴィエンツキェヴィチ(『マイティ・エンジェル』)
最優秀芸術貢献賞:『草原の実験』
観客賞:『紙の月』
WOWOW賞:『草原の実験』
【アジアの未来】
作品賞:『ゼロ地帯の子どもたち』
国際交流基金特別賞:『遺されたフィルム』
【日本映画スプラッシュ】
作品賞:『百円の恋』
スペシャル・メンション:『滝を見にいく』
【SAMURAI(サムライ)賞】
北野武、ティム・バートン