致死率が50%を超えると言われているエボラ出血熱にはワクチンがない

厚生労働省は10月28日、エボラ出血熱がまん延している西アフリカのリベリアに滞在した後に27日に帰国した男性からは、エボラウイルスが検出されなかったことを明らかにした。男性は27日の帰国時、エボラ出血熱の症状の一つである発熱が確認されており、エボラ出血熱の感染が疑われていた。

WHOは、10月25日にエボラ出血熱の感染者は全世界で1万人を超え、そのうちの半数近い4,922人が死亡したと発表した。日本国内ではこれまで感染者は確認されていないが、万が一に備え、致死率が非常に高いエボラ出血熱の症状と感染経路をまとめた。

エボラ出血熱は、エボラウイルスによる急性熱疾患。致死率が高い点が特徴で、国立感染研究所によると、2014年の西アフリカでは、8月11日の時点でエボラウイルス感染者の致死率は54%にものぼる。集団発生では90%にも達することがあるという。

今年3月の西アフリカ・ギニアでの集団発生を発端として、近隣のリベリアやシエラレオネなどで流行が拡大。感染者の治療に当たっていた医療従事者が2次感染するなどのケースが、アメリカやスペインで起きるなどし、アフリカ以外の地に飛び火する形になった。

エボラウイルスに感染すると、2日から21日の潜伏期間を経た後、

・頭痛

・倦怠(けんたい)感

・筋肉痛

などの症状が出るとされている。さらにその後、

・嘔吐(おうと)

・下痢

・胸部痛

・出血

などの症状が現れる。ただ、感染者が出血をする可能性はそこまで高くないとされている。

厚生労働省は「現在、エボラ出血熱に対するワクチンや特異的な治療法はない」としており、患者の症状に応じた対症療法を行うことが最善策との見解を示している。

エボラウイルスは、感染者の体液が口に入ったり、傷口から入ったりすることで別のヒトに感染する。具体的には

・血液

・吐しゃ物

・排せつ物

・分泌物

などを介して感染し、空気感染はしない。

厚生労働省は、エボラ出血熱がせきやくしゃみを介してヒトからヒトに感染するインフルエンザなどとは異なると指摘。その上で、「簡単にヒトからヒトに伝播(でんぱ)する病気ではありません」と、感染率は高くないことを強調し、冷静な対応を求めている。

その他にも、「流行が確認されている地域には行かないこと」や、アフリカではチンパンジーやサルなどの感染も確認されていることから、「野生動物の肉を生で食べないこと」などが、感染リスクを上げないための有効対策とされている。そのため、外務省はギニアやシエラレオネやリベリアなどへの不要不急の渡航は延期するよう、注意を呼びかけている(10月28日時点)。

なお、エボラ出血熱に関する情報は厚生労働省のホームページでも確認できる。

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