中国ではいま、「兄弟姉妹がほしい」という声が

日本でも有名な中国の「一人っ子政策」。しかし、社会の高齢化が問題になっている中国では2013年秋にこの政策の方向転換を始め、多くの地域で、夫婦どちらかが一人っ子なら2人目の出産が許可されるようになった。そんな中、中国版ツイッターの「ウェイボー」で話題になっているのが「なぜ子供が2人ほしいのか」だ。

2人目OKでも子供を産めない現状

そもそも一人っ子政策とは、増え続ける人口の抑制のため、1970年代後半から中国が打ち出していた政策。ひとりしか子供を産んではいけないと規定、2人目以降を産む際には多額の罰金を徴収したり、多くの制限を課すというものだった。

現在、30代の世代からはほとんどが一人っ子であり、2人目の出産を許可される条件に当てはまる夫婦は多い。このため、ベビーブームが訪れることも期待されたが、実際には物価上昇や教育費高騰による子供の養育費増加で、2人目の子供を積極的に産もうとする人はそれほど多くないのが現状だ。

「子供が孤独ではなくなるから」

ウェイボーで話題の「なぜ子供が2人ほしいのか」、そのきっかけはある漫画家がアップした「最高の贈り物--なぜ2人子供を産みたいのか」という漫画だ。ストーリーは、2人の息子を産んだ母の視点から2人の子供を持つ大変さと、その中で兄がだんだん人を助けること・我慢することなどを学ぶというものになっている。

「兄弟としてそれぞれ思いやりのある子に育ってくれたあなたたちが、神様からの最高の贈り物」という内容が短くまとめられたこの作品がウェイボー上で話題となり、「すごく感動した」「これは、なぜ子供が2人必要かということに対する最高の回答」などと、多くの人がリツイートしている。

これをきっかけに話題となった「なぜ子供が2人ほしいのか」というテーマに対し、多くの中国インターネットユーザーがつぶやきしているのが、「子供が孤独ではなくなるから」ということ。「私には弟と妹がいます。このことを父母に感謝しています。なぜなら私は孤独ではないから」「兄弟姉妹さえいれば、父母が亡くなった後にも、血のつながった家族がいると孤独ではない」などとつぶやいている。

「恋人と思うような兄がほしい」

中でも、多いのが女性ネットユーザーによる「お兄ちゃんがほしかった」というつぶやき。「小さな頃は、ずっとお兄ちゃんがほしかった。孤独な時、迷った時にお兄ちゃんがそばにいてくれたらなと思っていた」など、"兄=頼りになる人"というイメージが根強いようだ。

「私のことを守ってくれるお兄ちゃんがいたらよかったなって、小さな頃から思っている。学校の登下校でも、私のことを待ってくれるような、やさしいお兄ちゃん。もしかして、私にはお兄ちゃんがいないから早熟だったのかも?」「知らない人が見たら、恋人と思うような兄がほしい」というブラコンを夢見るようなつぶやきも。

一人っ子政策世代に一人っ子として生まれ、父母、そして父母の父母の6人の大人に囲まれて育った子供「小皇帝」(小さな皇帝)や「小公主」(小さなお姫様)のわがままぶりは、中国でもずっと取り沙汰されてきた問題である。こうして、「お兄ちゃんがほしかった」というつぶやきを見ると、「わがままに育てられた」とされている世代の人々が、実は孤独を感じ、兄弟の存在を熱望していたことが分かる。

とはいえ、この「なぜ子供が2人ほしいのか」というテーマに対して、実際に子供を産む年齢の夫婦と思われる人からのつぶやきは意外に少ない。子どもの立場としてみれば、「兄弟姉妹がほしい!」と思っても、実際に育てる方としては育児費と子育ての負担増大にはためらいがあるようである。

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