日経BPコンサルティングは23日、全国主要500駅で実施したLTE/4G通信速度に関する調査の結果を公表した。それによると、データ通信のダウンロード速度についてはiPhone 6、Android端末ともにソフトバンクモバイルが1位となった。また、アップロード速度についてはiPhone 6、Android端末ともにNTTドコモが1位だった。この調査結果について本稿で考察していく。

通信速度トップはどこのキャリア? 下りはソフトバンク、上りはドコモに

今回、LTE/4Gでつながった駅のうちデータ通信のダウンロード速度が最も速かったのは、iPhone 6、Android端末ともソフトバンクモバイルだった。全国エリアでは、ソフトバンクの「AQUOS CRYSTAL」が下り平均速度37.67Mbpsで最速。次いで同じくソフトバンクの「iPhone 6」が下り平均速度37.51Mbpsだった。特に西日本エリアでは「AQUOS CRYSTAL」が下り平均速度40.53Mbps、「iPhone 6」が下り平均速度39.99Mbpsと好結果を残している。

データ通信速度(ダウンロード速度)

一方で、iPhone6、Android端末ともにアップロード速度が最も速かったのはNTTドコモだった。同社のiPhone 6のアップロード速度は6機種の中で最速で、上り平均速度9.31Mbpsだった。特に西日本においては上り平均速度11.38Mbpsと好結果を残している。

データ通信速度(アップロード速度)

Webブラウジングの際や、写真や動画などのコンテンツを閲覧する際にはダウンロード速度の速さが求められる。今回、ソフトバンクモバイルの提供する端末が下り最速となった理由はどこにあるのだろうか。

昨年より、ソフトバンクではFDD-LTEとTD-LTEの両方式に対応した「Hybrid 4G LTE」を提供。これまではAndroid端末でのみ利用可能だったが、iPhone 6/6 Plusでも新たにこのHybrid 4G LTEによる通信が利用できるようにしている。

同社はこの Hybrid 4G LTEにより、同社のネットワークはこれまで以上に強化されたとしており、9月17日に開催された記者説明会においても、 ソフトバンクモバイル 副社長 兼 COOの宮内兼氏が「TD-LTEの基地局や100Mbps以上の基地局の数もナンバーワン。FDD-LTEでもTD-LTEでも圧倒的な強さを誇っている。Wi-Fiスポットだって日本中どこに行ってもあるくらいある」とアピールしている。

今回、ソフトバンクの提供するiPhone 6およびAndroid端末がダウンロード速度で1位を獲得した理由のひとつには、この「Hybrid 4G LTE」の好影響があると言えそうだ。ちなみにKDDI(au)ではCA(キャリアアグリゲーション、複数の帯域を同時利用することにより高速化を実現する技術)を先行導入しているが、今回の調査ではダウンロード、アップロードともにその効果が存分に発揮されているとは言い難い結果となったようだ。

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今回の調査は、全国の乗降者数上位500駅を対象に実施したもの。全国47都道府県のうち地下鉄を除く、JR、私鉄の乗降者数の多い駅から500カ所を選んだ。調査に使用した端末は、主要3キャリアから提供されている「iPhone 6」、およびAndroid端末。Android端末はNTTドコモの「GALAXY S5 SC-04F」、KDDI(au)の「Xperia ZL2 SOL25」、ソフトバンクモバイルの「AQUOS CRYSTAL」の計6機種。調査期間は2014年10月3日から10月10日まで。

なお乗降者数上位500駅の選定に際しては、全国のJR各社、私鉄の公開データを基にした。500駅のうち、東日本エリアは376駅(北海道、東北、北関東、東京、南関東、甲信越)、西日本エリアは124駅(東海、近畿、中国、九州)となっている。データ通信速度は「RBB TODAY SPEED TEST」アプリにて計測。いずれの駅も、上りホームの中央を測定ポイントとして指定し、同一地点で各3回計測を行い、平均値を記録した。またその際の接続通信方式についても把握した。

(執筆:大石はるか)