日立製作所は10月23日、従来よりも立ち座り動作の負担を軽減することができる通勤電車向けシートをプロダクトデザイナーの川上元美氏と共同で開発したと発表した。

従来の通勤電車シートは、低く、深く腰掛ける形状であるため、高齢者などは立ち座り動作に負担を感じていた。この課題を解決するために、従来のシートより座面の高さを約100mm高くするとともに、座面の奥行きを従来よりも約100mm浅くし、座席間に仕切りとなるひじかけを設けるなど、動作に関わる身体的負担の軽減を考慮した新しいコンセプトの車両用シートを開発した。同シートを車両の一部に導入することで、利用者はそれぞれのニーズに合わせてシートを選択できるようになる。また、座面を浅くすることにより、足を投げ出して座ることが抑制されるため、車内の空間が広がり、快適性が向上するとしている。

今回開発したシートのデザインは、世界各国で数多くの椅子をデザインしてきた川上デザインルーム代表の川上元美氏と共同で開発され、美しく座り心地のよい基本形状を追求したものになっているという。すでに、試作シートでのモニター調査を実施して改良を重ねており、車両への搭載試験などを経て今後製品化していく予定。

(左)通勤電車車両への設置イメージ、(右)従来シートと今回開発したシートの断面比較