Analog Devices(ADI)は10月22日、オーディオやコントロールデータをクロックや電源とともにアンシールドのシングルツイストペアワイヤ上で配信することができるデジタルオーディオバス技術を搭載したトランシーバ「AD2410」を発表した。

同製品は、同社の新しい車載オーディオバス「A2B(Automotive Audio Bus)」を可能にするデバイスファミリの最初の製品であり、現在のケーブルハーネスの重量を大幅に低減でき、車の燃料効率の改善とHi-Fiオーディオ配信を実現する。また、既存のデジタルバスアーキテクチャで求められる高価な大規模メモリ付きのマイコンが不要になる。

さらに、50Mbpsのデータ帯域幅と、上りおよび下り合わせて最大32オーディオチャネルに対するサポートを提供する。そして、複数の「AD2410」を単一のマスターにデイジーチェーン接続でき、あらゆる規格のオーディオサンプリング速度に対応する他、既存のデジタルバスアーキテクチャと異なり、システム遅延は全てのスレーブノードにおいて完全に同期されるため、特にアクティブノイズキャンセレーション、車内通信、およびマイクロフォンビームフォーミングなどのアプリケーションに適しているという。この他、配線の複雑さを低減するだけでなく、全てのスレーブノードにファントム電源機能を提供して、ローカル電源を不要にする。その結果、オーディオシステムのeBOMコストが低減できる。

また、自動車用ESDやEMI、さらにEMC要件のすべてに適合しているのに加え、-40℃~+105℃の拡張自動車用温度範囲で動作し、AEC-Q100規格に完全準拠している。さらに、システム関連の故障を特定できる拡張診断機能も内蔵している。そして、同社のSigmaStudioグラフィカル開発ツールを用いて完全にコンフィギュレーションすることができ、開発時間の短縮と迅速な市場投入を保証する。

なお、パッケージは32ピンLFCSP。価格は1000個受注時で4.95ドル。現在サンプル出荷中で、量産出荷は12月より開始する予定。

デジタルオーディオバス技術を搭載したトランシーバ「AD2410」