Xilinxは、All Programmable SoC「Zynq-7000」の生産性向上が図れる開発環境「Vivado Design Suite 2014.3」、ソフトウェア開発キット(SDK)、およびエンベデッド設計手法ガイド「UltraFast」を発表した。

今回のリリースには、Vivado HLS(高位合成)、およびVivado IP Integratorの機能強化、また、性能のモニタリング機能および可視化機能というSDKにおける機能追加が含まれている。機能強化された「Vivado Design Suite 2014.3」およびSDKと「UltraFast」を組み合わせて使用することで、生産性が10倍以上に向上することが実証されているという。

具体的には、Vivado HLSの機能強化には、C言語ベースの合成結果の品質向上、およびAMBA AXI-4インタフェースの自動推論における機能強化が含まれている。これらの機能強化により、統合のための時間を短縮するとともに品質を高められる。また、Vivado HLSを使用することで、Cアルゴリズムの仕様から直接IPを生成および検証でき、RTLシミュレーションより数桁高速な、手作業でコーディングしたRTLおよび検証に匹敵する設計を短時間で実現できる。Vivado HLSは1000人以上の設計者に活用されており、ハードウェアをインプリメント可能なソフトウェアライブラリもサポートしている。これらのライブラリは、発展を続ける同社のエコシステムによって提供される。強化された「Vivado Design Suite 2014.3」は40以上のOpenCV機能をサポートしており、このOpenCV機能は、Xilinx Technology Venturesの投資企業でありアライアンスメンバーであるAuviz Systemsから入手可能となっている。

また、Vivado IP Integratorの機能強化としては、ストリーミングとメモリマップ方式AXIインターコネクトとの間の接続の自動化があり、これにより「Zynq」SoCベースシステムへのIPの統合が容易に可能となる。さらに、新機能としては、ザイリンクスプレミアアライアンスメンバーIPのためのプッシュボタン方式の評価依頼機能がある。加えて、「Vivado 2014.3」では、新たに評価用のXylon logicBRICKS IPコアが追加されており、他のアライアンスメンバーIPも今後のリリースで追加される予定。この他、新しいlogicBRICKS IPでは、高効率の画像および映像処理IPの迅速な評価が可能となり、Vivado IPカタログのさらなる拡充をもたらしている。

そして、SDKを拡張し、リアルタイムのインシステム計装と性能可視化の機能を追加した。これにより、システム性能のボトルネックを速やかに発見し、仮定したシナリオを迅速に実行できる。また、「Xilinx SDK 2014.3」には、FPGAファブリック上で動作するコンフィギュレーション可能なAXIトラフィックジェネレータが含まれており、開発サイクルの初期段階でのエンベデッドソフトウェアの開発が可能である。

この他、「Vivado」の「UltraFast」設計手法を補足するために、「UltraFastエンベデッド設計手法ガイド(UG1046)」を導入している。同ガイドは、システムアーキテクトやソフトウェアエンジニア、ハードウェア設計者などの設計チームに対して、予測できる成功例のベストプラクティスを提供し、All Programmable SoC「Zynq」を活用したエンベデッドシステムの生産性を向上させる。

なお、「Vivado Design Suite 2014.3」は、「7」シリーズ、All Programmable SoC「Zynq」、「UltraScale」デバイスをサポートしており、現在入手可能となっている。「Vivado」と「Xilinx SDK」は同社のWebサイトからダウンロードできる。